最低賃金がさらに引き上げられる。その背景には「賃金上昇➡消費増➡売上増➡利益増➡雇用増➡賃金上昇」という好循環が発生するという論理があるのだが、それは夢物語だ。経営者が市場拡大に確信がない間は「賃金上昇+雇用増」には踏み切れないので、中小企業が破綻していくだけで終わる。 もっとも「中小企業が破綻する」ことについて、政府やエコノミストはズルい回答を用意している。「低い水準で留まっている日本経済の生産性を向上させるためには、付加価値を産み出す力が弱い中小企業を新陳代謝すべき」という論理だ。つまり、「中小企業の破綻➡生産性の低い中小企業の退出➡大企業への人材の移行➡経済全体の生産性向上」という論理を用意している。 これは「嘘」。潰れた中小企業から大企業に転職した人材などどこにもいない。そもそも、大企業自身が早期退職を募っている。大企業の生産性が高く見えるのは、下請けへの皺寄せを含んだコスト削減が主因で、新たな付加価値を産み出したことによるものではない。じつは、日本経済の生産性を引き上げるために必要なのは、中小企業ではなく、大企業の新陳代謝なのである。