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vol-1060:日本企業における「ジョブ型」は紛い物が多い
近年、日本のメディアでは、「ジョブ型雇用」が称賛され推奨されている。このため、「メンバーシップ型雇用」に係わるデメリットが強調され、「ジョブ型雇用」のメリットばかりが喧伝される傾向がある。例えば、人事コンサルティング会社マーサージャパンによる大企業の管理職を対象とした調査(2020年9月)によれば、現状の雇用は、「メンバーシップ型」が34%、「どちらかというとメンバーシップ型」が30%で、「どちらかというとジョブ型」が15%、「ジョブ型」が21%であり、「メンバーシップ型」64%に対して、「ジョブ型」が36%の比率だったが、3~5年後の見通しを聞くと、「メンバーシップ型」44%に対して、「ジョブ型」56%と逆転。日本企業(特に大企業・上場企業)において、「ジョブ型」へと向かう潮流を観察することができる。 また、パーソル総合研究所の調査(2021年6月)によると、「ジョブ型」を導入企業は18.0%で、導入検討企業は39.6%であったし、「求人広告」や「合同企業説明会」を展開している学情が「ジョブ型採用」について調べたところ(2022年1月)、「20
3 日前読了時間: 4分


vol-1059:アイリスオーヤマは不得意な分野に異動させる
このところ日本では、個々人の「スキル」を重視する「ジョブ型人事」が脚光を浴びているが、ユニークな家電などで成長を続けているアイリスオーヤマは、ゼロから「スキル」を学ばせるという「一見あり得ない人事異動」を徹底しているのだ。 アイリスオーヤマでは、ある分野の技術を3年かけて極めた社員を、敢えて異なる他分野に異動させて一から学ばせている。「ジョブ型」的な発想からは、決して出てこない「非効率な人事戦略」を実践しているのだ。しかし、そういう非効率で非常識な人事異動を実践しているからこそ、競合他社ができないレベルで、新商品開発が得意な企業風土を形成できる。インテルを立て直したアンドリュー・グローブは、『変化することの意味を経験した社員は、新たな変化にも大きな苦痛なしに再び適応できる』と語っているが、そういう人材を育て続けることが重要なのである。 技術部門でも異動は頻繁です。アイリスでは採用後に配属された部門が園芸部門だったからといって、そのまま園芸用品のプロになるような人事はしません。家電部門、建装部門へと異動します。せっかく知識・技能を覚えても、新しい部
3 日前読了時間: 3分


vol-1050:求職者のスキルに頼る前に経営スキルを磨け
リクルートでは、人材と仕事を考える際に、「WILL/CAN/MUST」という分析手法がある。各々、WILLは「やりたいこと、意思・希望」を、CANは「できること、能力・スキル、才能、実績」を、MUSTは「やらねばならないこと、求められていること、期待・責任」を指すが、「MUST」すら完璧にこなせない人材が、「WILL」を求めて、転職に期待を賭けてもうまくいくわけがない。現在は、「CAN」の一要素である「スキル」にスポットライトが当たっている(というよりも、スポットライトを当てすぎである)が、「職場のチームにおけるフィット感(=チームインテリジェンス)」を無視したスキル論に大した価値はない。 実際、経営の現場では、『人を使うというときにはどうしても“粒より”ばかりというわけにはいかない』(松下幸之助:松下電器創業者〈現パナソニック〉)という現実に直面する。「現状の戦力で最大の成果を実現する」ことが経営者の仕事である。 だから、世に知られる名経営者たちは、異口同音に「学歴や学業=スキルセット」の重要性を否定し、「使われる人材」よりも「使う経営者」を問
4 日前読了時間: 4分


Vol.1047:「人材希少社会」で介護は「無理ゲー」になる
日本で働く外国人は257万人。労働者の27人に1人にあたる。2009年においては112人に1人だったことを考えると、増加の著しさがわかる。外国人労働者は、日本人が当たり前と思っている「普通の生活」を支える存在と化した。その現実が鮮明なのは介護現場。日本の介護現場における人材不足は極めて深刻であり、2026年度には25万人、2040年度には57万人が不足すると見られている。どこの施設もスタッフの確保に頭を抱えており、事業存続の危機にさらされている施設も少なくない。さらに、日本国内だけではなく、台湾や韓国、シンガポールなどの諸外国とも外国人介護人材を奪い合っているというのが現状だ。 こうした外国人介護人材は日本にとってありがたく、本来なら感謝しても感謝しきれない存在だ。しかし、高市政権による在留資格の厳格化だけでなく、在留資格変更・更新手数料の大幅引上げ(6000円から33,000円~77,000円に)が彼らを襲っている。本人負担が増えれば、日本で働き続けることをためらう人が出てくるので、人材流出を防ぐため、増額分を事業者側で負担するという動きが出て
5 日前読了時間: 5分


vol-1036:サナエノミクスで景気は良くなっているのか?
株価が大幅高になったことなどを背景に、「高市政権による経済政策(サナエノミクス)は上手く機能している」と短絡的に論じるコメンテーターが少なくない。しかし、本当に景気は良いのだろうか? 経済関連統計をつぶさに見てみよう。年間累計の倒産計数は、2025年1月から1万社超え。前年比もじりじりと増加し、+7%近くに上昇してきた。素直に読めば、景気が良いとは思えない。 倒産件数 (年間累計) 前年比 2026年1月 10,292件 +2.6% 2月 10,357件 +2.9% 3月 10,427件 +3.5% 4月 10,498件 +3.6% 5月 10,434件 +4.8% 6月 10,593件 +5.8% 7月 10,674件 +6.2% 8月 10,750件 +6.9% 実際、企業倒産が増えている中で、世の中的には「人手不足」が根強く喧伝されてるものの、有効求人倍率(実数)の数値を見る
9月15日読了時間: 4分


vol-1025:AIがもたらす効果を過度に期待すべきではない
「猫も杓子もAI」という狂騒の中で、ようやく冷静な議論が散見されるようになった。小林祐児・パーソル総合研究所主席研究員は、「生成AIの利用率は過半数を超えて、仕事が早くなったと実感している人は多い。だが、日本のみならず、AI活用が進むアメリカの統計を見ても、労働時間は減らず、組織の生産性はほとんど上がっていないことがわかった」と証言する。 ノーベル経済学賞を受賞したアセモグルMIT教授は、AIによる今後10年間の生産性向上はたかだか0.66% (年率0.06〜0.07%) に過ぎないと推計したし、サンフランシスコ連銀も年間0.07%(2026年1Q時点)と分析。 ビジネスの現場も同様だ。カスタマーサポート要員を数百人規模でAIに切り替えたスウェーデンのKlarnaでは、サービスの品質低下を招き、人員を再雇用。AIによるドライブスルーの自動発注システムを導入した米マクドナルドは、注文精度や現場対応の問題で中断した。AIプロジェクトを中止した米国企業は42%(2025年)に達し、MITの研究でも「95%ではAIの投資効果が得られなかった」との結論に。
9月5日読了時間: 1分


vol-1024:ゆで太郎の給料は決して低賃金ではない!
500人の外国人社員を雇用するそばチェーン「ゆで太郎システム」の池田智昭代表は「事務職を募集すれば、日本人は山ほど来る。日本人はみんな現場で働きたがらない。190万人が失業していても有効求人倍率が1.2なのは、仕事を選んでいるからだ」と主張。「安く働く外国人労働者を入れれば入れるほど、日本人の給料は上がらなくなる」という反論に対しては、「外国人のコストは日本人以上。寮の費用や管理費が余計にかかっているのに、採用するのは、外国人の方が生産性が高くて面目だからだ」と補足説明した。 SNSでは「賃金が安い外国人を雇うな!」という短絡的な意見が渦巻いているが、ゆで太郎の賃金体系は、初任給で23.4~31.0万円、店長クラスは35.5~47.0万円であり、決して「低賃金」ではない。そもそも、正規の在留資格で働く合法移民の賃金は、入管法上、日本人と同等以上でなければならない。 「外国人=低賃金」という誤解が蔓延しているのは、「不法移民が低賃金で働いている」という現実があるから。誤ったイメージを是正するには、不法残留者や偽装難民という不法移民を片っ端から摘発し
8月29日読了時間: 1分


vol-1023:悪質なブローカーに関する対策に終わりはない!
外国人就労ビザの厳格化が進む一方で、新たな「抜け道ビジネス」が横行しているという指摘がある。発端は「経営・管理」の資本金要件が3,000万円以上へ引き上げられた2025年10月。中国系SNSには関連投稿が飛び交い、対処の本命が「技人国」だった。「手数料を払えば、日本で働いた実態がなくても会社員の身分証が手に入ります」というSNSの投稿が後を絶たない。 投稿にDMを送ると「四年制大学卒なら、手数料6万元(約140万円)で手配します。名義貸し企業に所属することで会社員の身分が手に入り出社も不要。ペーパーカンパニーではなく、営業実態のある一般企業なのでご安心下さい」と説明。企業も名義貸し料を得られるのでWin-Winだ。4月から通訳や接客で雇う場合、N2以上の証明が必要になったが、SEなど日本語は要らないと偽って審査を通す。また、派遣が厳格化されたので、請負の体裁を取りながら、現場で直接指示を出す「偽装請負」も横行しているらしい。 中国には「上有政策、下有対策(上=国に政策があれば、下=国民は抜け道を考える)」という有名な言葉がある。悪質ブローカー対策
8月22日読了時間: 1分


Vol.1018:「AIが人間の仕事を奪う」のはまだまだ先
「イギリスでは、2026年1〜3月期の16歳から24歳のニートが100万人を超えました」などの事実に引っ掛けて、「AIが人間の仕事を奪う」という言説が世の中に溢れる。というのも、生成AIが資料作成やデータ入力など新人が担ってきた仕事を賄えるからだ。「若者は最初の職を得られず、職歴がないので採用されないという悪循環に陥る」という。米国IT業界にはその気配が色濃く漂っているし、日本でもSBIホールディングス北尾会長が「よほど優秀な人材でないと採用するな」「採用を大幅に減らす」と述べた。 しかし、本当にそうか? AIが便利なツールであることを否定するつもりはない。巧みに使えば、打ち出の小槌にもなる。しかし、テレアポリストに限って言えば、Chat-GPTで作成したリストのヒット率は0.06%、手作りの0.26%に及ばないという実例もある。しかも、Chat-GPTが作成するリストの4~5割はバグ。無論、Chat-GPTに対する指示が下手なだけという側面はある。しかし、AIっぽいテレアポを売り込みにくる業者と話しても、リアルな事情はあまり変わらない。AI関連
7月21日読了時間: 1分


Vol.1017:楽観論に騙されることなく最悪期に備えよ
帝国データバンクの調査によれば、2026年6月の倒産件数は1,028件(前年同月869件、前年比18.3%増)となり、約2年ぶりに1,000件を超えた。また、上半期(1~6月)の倒産件数は、5,335件となり、前年(5,003件)を6.6%上回り、2年連続の5,000件超えとなった。物価高や人手不足という苦境の中で、販売不振に見舞われている中小企業が力尽きている。 大企業の増益や高水準の株価の背後に隠されているが、中小企業の景況感に力強さは感じられない。冷徹に観れば、AIブームで浮かれている市場関係者の中で、AIの収益化を具体的に語れる者は皆無であり、6ヶ月連続で前年比割れの実質消費(家計調査)や5月に悪化した鉱工業生産も懸念される。 そんな中、政策金利のさらなる引き上げが見込まれている。帝国データバンクの調査では、政策金利が1.0%へ引き上げられることによって3.3%の企業が経常赤字に転落、1.5%へ引き上げられた場合には6.1%の企業が経常赤字になるという試算となっている。高市政権やメディアで漂っている楽観論に騙されることなく、あらゆる局面に
7月13日読了時間: 1分


vol-1012:足元の人手不足と将来の需要減少が企業を襲う
5月29日、総務省は「2025年国勢調査人口速報集計結果」を公表。日本の総人口は1億2,305万人。2020年と比較すると、309万7,000人(▲2.5%)減少。5年毎の推移をみると、1945年~1950年は第1次ベビーブーム等で+15.3%と高い増加率となったが、出生率の低下に伴い増加率が縮小。1970~1975年は反転したものの(第2次ベビーブーム)、1975~1980年には増加幅が再び縮小に転じ、2010~2015年は▲0.8%と初めて減少。2015~2020年は▲0.7%、2020~2025年は▲2.5%に。都道府県の人口をみると、人口が増加したのは東京都と沖縄県のみ。秋田県では人口減少率が▲8.1%に達した。市町村の人口をみると、人口が減少したのは1,558市町村で全体の90.6%。一方、人口が増加したのは161市町村で全体の9.4%に過ぎない。 2025年の日本人の出生数は67万人で10年連続で過去最少。人口の「自然減」は19年連続で続く。女性1人が一生のうちに産む子どもの数の指標「合計特殊出生率」は1.14で過去最低。人口減少は否
6月8日読了時間: 1分


vol-1009:「フホー」を使う前にやるべきことがある
茨城県のある地域では、不法就労外国人のことを「不法さん」とか「フホー」と呼んでいて、かなり身近な存在になっている。「不法さん」が飛び込みで「仕事ありますか?」と訪ねてきたり、「特定技能を使いませんか?」という片言の電話も珍しくないという。サツマイモを栽培する農家男性は「かき入れ時に人が足りない。『フホー』に頼らざるを得ない」と話し、「悪いことは分かっている。ただ、ルールの範囲内でやっていたら儲からない」と吐露する。また、メロン農家の男性も「不法就労は暗黙の了解。おかしな話だが取り締まりが増えれば、鉾田の農業は回らない」と溜め息をついている。 茨城県内の不法就労外国人は、過去10年間ほとんど1位(2021年2位)で、昨年まで4年連続で全国最多となった。人手不足の深刻化が原因だというが、正規の在留資格で外国人を雇う努力が足りているとは思えない。 「特定技能」は、原則として「派遣」は不可だが、繁閑期があることを理由に「農業」には「派遣」を認めている。また、稼働時間の過半に至らなければ「農業以外」の業務に就くこともできる。工夫不足の感が否めない。
5月18日読了時間: 1分


vol-1006:今こそ「実務研修ガイドライン」を活用せよ!
政府は、外食業界の「特定技能1号」について、4月13日付で新たな受け入れを原則として停止した。すかいらーくホールディングスやゆで太郎システムは、アルバイトとして雇った外国人留学生を「特定技能1号」で正社員採用する予定だったが、人員計画が破綻。受け入れが再開される時期については、遅いと2029年3月末頃になる可能性があるため、業界団体は近く、受け入れ人数の上限を引き上げてほしいと政府に要請する方針らしい。 各社では、採用対策をどうするかで大童だが、外国人材専門と名乗る、ある弁護士は、すでに外食業界で「特定技能」で働いている外国人を採用するとか、日本の大学を卒業した外国人を対象とした「特定活動(告示46号)」の活用すべきとし、中長期的には在職者を「特定技能2号」に育成し、業界を挙げて「特定技能1号」の枠を開ける努力をすべきだ、などと述べている。 そんな対策で目先の人手不足に対応できるわけがない。今こそ「技術・人文知識・国際業務」に関する「実務研修ガイドライン」を熟読し、日本人社員にも適用する研修計画を策定して、「現場研修」を有効に活用すべきである。
4月20日読了時間: 1分


vol-1004:行政実務に疎い高市政権は本当に政策通なのか?
景気の雲行きが怪しい。イラン戦争が泥沼化し長期化する様相を見せており、IMFは、エネルギー価格と食料価格の高騰が続けば、世界的なインフレを加速させるとの見通しを示した。日本国内でも、石油精製の過程で得られるナフサが入手できなくなるとの予測から、大手化学メーカーは軒並みエチレンの減産を発表。石油関連製品に関する値上げのリリースが相次いでいる。 高市首相は、3月29日に「ただちに供給が滞ることはないですから落ち着いた対応を」と呼びかけ、翌日には「赤澤経産大臣を『中東情勢に伴う重要物資安定確保担当大臣』に任命したが、経済安保担当大臣がいるにもかかわらず、似たような担当大臣を新設したところで、何の解決にもならない。 今後懸念されるのは、原油枯渇や物価高に加えて、景気悪化の中で日本人の失業問題がクローズアップされ、「日本人が職にありつけないのは外国人を受け入れているから」という情緒的な世論が沸騰し、排外主義が勢いを増すこと。政策通のようで実情に疎く行政手腕に欠ける高市政権が、排外主義に迎合しすぎて、ヘンテコな政策を打ち出さないことを切に祈るばかりである。
4月6日読了時間: 1分


vol-1003:特定技能はいきなり「転職困難」になる?
3月29日、入管庁は、外食業分野における「特定技能1号」の在留者数が、本年2月末現在で4.6万人となっており、本年5月頃に受入上限の5.0万人を超えることが見込まれるとして、4月13日から、外食業分野における「特定技能1号」の受入れを一時的に停止する。再開はかなり後になりそうだ。 寝耳に水の外食業界は大騒ぎ。大手飲食チェーンは「急な決定に驚いている。今後の計画の見直しが必要になる」と懸念を表明し、給食運営企業は「特定技能外国人を採用できなければ食堂の運営が立ちゆかない」と悩みを語る。 今回の措置で、4月13日以降に受理した「外食業分野の特定技能1号」に関する「在留資格認定証明書交付申請」と「在留資格変更許可申請」は不交付・不許可になる。在職中の特定技能外国人の「在留期間更新許可申請」等については「通常どおり審査」ということなので、最悪の事態は避けられた形だが、じつはこの措置により、特定技能外国人は転職が難しくなった。特定技能は受入企業に紐づいているので、転職の場合、「在留資格変更許可申請」で許可を得る必要があるからだ。実際は、転職困難になる可能性
3月30日読了時間: 1分


vol-1001:スタグフレーションにどう立ち向かうか?
東京商工リサーチの調べによると、2026年2月の「人手不足」倒産は47件(前年比147.3%増)で、2025年9月の48件以来、5カ月ぶりに40件台に乗せた。「求人難」を理由とする倒産が前年比3倍以上になっているという。本格的な春闘を前に、「賃上げ疲れ」が倒産という形で顕在化しているという指摘も聞かれる。業種別にみると、「飲食業」の倒産は、83件(前年比33.8%増)で、3カ月連続で前年同月を上回った。食材やエネルギー価格、従業員の確保のための人件費などが上昇する一方だが、値上げは顧客離れを招きかねず、資金力の乏しい小・零細規模の飲食業者が脱落を加速している。 そんな中で勃発したイラン戦争。米国とイスラエルによるイランへの攻撃、そしてイランによる報復攻撃が続き、中東情勢の緊張が高まっている。原油輸送の要衝であるホルムズ海峡は事実上封鎖されており、欧州やアジアなどへの原油、液化天然ガス(LNG)の供給が滞る危機的状況が続いている。 人繰り難の中で、エネルギー価格の高騰が続けば、スタグフレーションに陥りかねない。最悪のリスクを踏まえた上での経営の舵取
3月16日読了時間: 1分


vol-998:大きな人手不足は生じないから問題ない?
1月26日に経済産業省が公表した「2040年の就業構造推計」が話題になっている。2025年平均で過去最多の7004万人となった労働力人口は、人口減少によって2040年には6303万人になると推計。700万人ほど減るのだが、国内投資の拡大や産業構造の転換、AIやロボットの利活用およびリスキリングによる省人化によって「大きな人手不足は生じない」と結論づけた。 「だからどうした」と言うしかない。日本が抱える真の問題は人口減少ではない。高齢層に比べて若年層が圧倒的に不足するという人口構成の問題である。AIやロボットの利活用およびリスキリングによって、200万人が不要になると言うが、人口構成の問題は完全に無視。無論、省力化はどんどんやればよい。事務職で437万人の余剰が生じるという予測も披露されたが、価値が低く不要な事務も多い。業務改善を先送りしてきた結果だとも言える。 政府はIT、DX、AIなど目新しい旗を次々と掲げてきたが、役所仕事の実態を見ればよい。AIどころかIT導入の前提となる標準化すらできていない。その程度の役所が垂れ流すいい加減な予測は9割引
2月23日読了時間: 1分


vol-987:今後50年は毎年100万人ずつ人口が減る
日本人の出生数68.6万人に対し、死亡数は160.5万人(2024年)。差引き91.9万人が1年間で減少。この傾向は1年だけの異常値ではなく、少なくとも今後50年間は続く。出生数を低位で推計し、死亡数を高位で推計すれば、毎年100万人の人口が失われていき、その減少傾向は最低でも50年続くという現実を確認することができる。この将来像は避けようがない。 しかし、この待ち受けている近未来を直視できない人は多い。多いのは、「人口減少をどうにか食い止める」という解決不能の問題に取り組む振りをして時間を浪費する人々だが、「重要なのは1人あたりGDPであって、人口が減っても何ら問題は生じない」などと問題をすり替える一派も目立つ。 悩ましいのは、人口減少だけでなく、高齢者層に対して若年者層が少ないという深刻なギャップが広がっていること。程度についてはともかくとして、「移民」について真剣かつ子細に議論すべき時が来ている。厳しいルールを張り巡らせ、若年層の移民を受け入れる一方、妊娠すれば強制送還。高齢者は金持ち以外在留させないというシンガポール方式に学ぶべき点は多い
2025年12月1日読了時間: 1分


vol-983:最低賃金引上げは生産性向上をもたらす?
10月3日から東京都の最低賃金が1,226円に引き上げられるなど、初めて全国すべての都道府県で最低賃金が1,000円を超えた。この施策の背景には、「最低賃金の引上げを契機に、企業は労働生産性の向上に努める。一方、賃金の引上げで消費者の購買力が向上し、販売価格の上昇を通じて企業の売上高が増える。結果的に、企業業績が改善するから、さらなる賃上げを実施できるようになり、経済の好循環が実現する」という机上の空論がある。 じつは、経済産業省のシンクタンク「経済産業研究所」が出した論文「Who Pays for the Minimum Wage in the Japanese Manufacturing Sector?(最低賃金の上昇を負担したのは誰か?)」はこの論理を否定。「日本企業は、最低賃金の上昇圧力に対して、事業と雇用を縮小させることで対応しており、販売価格の引上げで生産性を向上させた証拠は得られなかった」と結論付けた。 当たり前だが、「労働生産性の向上➡企業業績の改善➡賃上げ余力の発生➡最低賃金引上げの許容」という筋道が逆転することはない。経営の論
2025年11月3日読了時間: 1分


vol-971:最低賃金引き上げは本当に良策なのか?
8月4日、厚生労働省は、最低賃金(時給)を63円引き上げる(全国平均)とする目安を示した。全国平均は1,118円となり、すべての都道府県の最低賃金が1,000円を超えることになる。東京都は1,163円から1,226円に引き上げるというのだから、企業経営の実態を無視している。景気が絶好調ならともかくとして、トランプ関税等もあり先行きは極めて不透明。最低賃金を2020年代に1,500円という政府方針に則って、逆算した結果なのだろう。 しかし、すでに悪影響は表れている。労働需給を最も鮮明に反映するアルバイトの有効求人倍率は、1.50倍(2023年1月)から1.03倍(2025年6月)に下落。じつは、2023年7月から有効求人数は前年割れを続けており、2年間もの長期に亘って、現場における企業の雇用意欲は減衰を続けている。 石破首相は「賃上げでさらに経済が活性化し、事業体が伸び、それにふさわしい賃金が支払われるという好循環が期待される。賃上げこそが成長戦略の要だ」と述べているが、現実は「賃上げこそが雇用意欲減衰の要」になっている。現実を直視しない経済政策が
2025年8月11日読了時間: 1分
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