vol-742:賃金を引き上げても人手不足は解決しない
2020年10月29日
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「人手不足は賃金引き上げで解決」という短絡的な言説が広がる。確かに、賃金引き上げでこれまで就労していなかった人たちが就労するのであれば、そういう道筋はあり得る。しかし、賃金引き上げで就労人口がさほど増えないのであれば、賃金引き上げで他社から引き抜けば、引き抜かれた会社では「人手不足」が発生するので、マクロとしての「人手不足」は解決しない。いわゆる「合成の誤謬」だ。
目端の利く経営者だったら、そんなことはわかっている。賃金引き上げ競争は、「崖っぷちまでアクセルを踏み続けるチキンレースにすぎない」からだ。だから、少なからぬ経営者は「人手不足➡企業防衛➡雇用抑制➡賃金抑制➡粗利確保➡現状維持」という戦術を取っている。一般的に想定されている「人手不足➡賃金上昇➡消費拡大➡売上増大」という拡大再生産の方針は取らない。
その背景には、「人口が減っていく日本経済が今後大きく拡大することはない」という諦観がある。そこを打破しない限り、好循環における賃金上昇は実現しない。そこがわかっていない人たちが多すぎる。



