top of page

vol-1136:なぜAIのworkslopについて報じないのか?

1 時間前
読了時間: 3分
  • 日本では未だに「AI万歳」的な報道や記事が多く見られますが、米国では「Workslop」に関する情報が溢れ出てきています。「Workslop」とは「work(仕事)」と「slop(残飯・汚水)」を組み合わせた造語で、一見完成度が高く見えるが、実際にはタスクの進捗に貢献しないAI生成の低品質な業務成果物のことです(スタンフォード大学とBetterUp Labsの研究者が2025年9月にハーバード・ビジネス・レビューで発表した概念)。

  • AIを業務に活かそうとしている日本企業でも「Workslop」は多く発生していますが、それらに関する報道は目立っていません。「Workslop」の特徴は、見た目は整っており、文章や資料としては自然で構成もきれいに見えるため、作成者は「完成した」と感じやすいところにあります。

  • しかし、実際には、①業務を意味のある形で進めるための実務的・実質的なステップが欠けている、②結論や根拠が曖昧で次のアクションを判断する材料が不足している、③受け取った側が内容を解読するのに時間を費やしたり大幅に修正する必要がある、という欠点を持っています。生成AIの普及により、メール、議事録、提案書、レポートなどで「Workslop」が増加しています。確かに、AIは短時間で自然に感じる文章や整ったように見える資料を作成できますが、文脈理解や目的設定が不十分なまま使用すると、表面的には完成しているが実務上の価値が低い成果物が量産されてしまうのです。

  • 米国企業においては、「Workslop」は時間を浪費してしまうだけでなく、不快感を抱いたり、信頼関係が悪化したり、個人の能力を評価することが困難になるなど、組織全体に悪影響を及ぼすことが知られるようになってきました。ある調査によれば、回答者の40%が過去1ヶ月間に同僚から「Workslop」を受け取った経験があり、修正するために1件あたり平均1時間56分を費やしています。送り手はAIに頼んで5分で生成しているのに、受け手は2時間近くを費やしているのです。さらに、同僚から受け取る仕事の15%(約6分の1)が価値を持たない「Workslop」だったという評価もあったのです。これは、従業員1万人規模の企業を想定すると、年間で10億円以上の損失につながる可能性があります。

  • 要するに、AIが生成したコンテンツを適切に精査せずに提出することで、受け手に過剰な負担がかかってしまうのです。MITの研究によれば、AIへの投資から測定可能なリターンを得ている企業はわずか5%。残り95%が、AI導入のROIを得られていません。また、マッキンゼーの調査によれば、92%の米国企業が今後3年間でAI投資を増やす計画を持っているものの、AIが完全にワークフローに統合され、「実質的なビジネス成果を生み出している」と評価したリーダーはわずか1%にすぎませんでした。この大きな要因のひとつが「Workslop」だと言われています。

  • AIのツールとしての有用性を否定するつもりはありませんが、メディアに良く出てくる推進論者が唱える「AI万能論」からはそろそろ卒業すべき時だと心得るべきです。

  • 【参考資料】 AI-Generated “Workslop” Is Destroying Productivity

    2025年9月22日(Harverd Business Review) https://hbr.org/2025/09/ai-generated-workslop-is-destroying-productivity

bottom of page