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vol-1025:AIがもたらす効果を過度に期待すべきではない
「猫も杓子もAI」という狂騒の中で、ようやく冷静な議論が散見されるようになった。小林祐児・パーソル総合研究所主席研究員は、「生成AIの利用率は過半数を超えて、仕事が早くなったと実感している人は多い。だが、日本のみならず、AI活用が進むアメリカの統計を見ても、労働時間は減らず、組織の生産性はほとんど上がっていないことがわかった」と証言する。 ノーベル経済学賞を受賞したアセモグルMIT教授は、AIによる今後10年間の生産性向上はたかだか0.66% (年率0.06〜0.07%) に過ぎないと推計したし、サンフランシスコ連銀も年間0.07%(2026年1Q時点)と分析。 ビジネスの現場も同様だ。カスタマーサポート要員を数百人規模でAIに切り替えたスウェーデンのKlarnaでは、サービスの品質低下を招き、人員を再雇用。AIによるドライブスルーの自動発注システムを導入した米マクドナルドは、注文精度や現場対応の問題で中断した。AIプロジェクトを中止した米国企業は42%(2025年)に達し、MITの研究でも「95%ではAIの投資効果が得られなかった」との結論に。
9月5日読了時間: 1分


Vol.1018:「AIが人間の仕事を奪う」のはまだまだ先
「イギリスでは、2026年1〜3月期の16歳から24歳のニートが100万人を超えました」などの事実に引っ掛けて、「AIが人間の仕事を奪う」という言説が世の中に溢れる。というのも、生成AIが資料作成やデータ入力など新人が担ってきた仕事を賄えるからだ。「若者は最初の職を得られず、職歴がないので採用されないという悪循環に陥る」という。米国IT業界にはその気配が色濃く漂っているし、日本でもSBIホールディングス北尾会長が「よほど優秀な人材でないと採用するな」「採用を大幅に減らす」と述べた。 しかし、本当にそうか? AIが便利なツールであることを否定するつもりはない。巧みに使えば、打ち出の小槌にもなる。しかし、テレアポリストに限って言えば、Chat-GPTで作成したリストのヒット率は0.06%、手作りの0.26%に及ばないという実例もある。しかも、Chat-GPTが作成するリストの4~5割はバグ。無論、Chat-GPTに対する指示が下手なだけという側面はある。しかし、AIっぽいテレアポを売り込みにくる業者と話しても、リアルな事情はあまり変わらない。AI関連
7月21日読了時間: 1分


vol-920:AIやDXを使っても経済問題は解決しない
2023年の日本人の出生数は過去最低の72.7万人となった。出生数が100万人台を記録した2015年から27.7%も減少した。この背景には、出産期の女性の激減がある。近年出産した日本人女性の9割は25~39歳だが、2015年と2023年を比較すると14%も減っている。「母親人口」が減少すれば、出生数は増大しない。今後「母親不足」はより深刻化していく。じつは、25年後に25~39歳に達する女性は、2023年よりも26%も少ない。要するに、子育て支援策を強化したところで出生数減は止められない。それが事実だ。 日本人は毎年70万人前後減少。日本に労働者を送り出してきた国の経済発展は目覚ましく、自国で仕事が創出されている。中国や韓国も外国人労働者の受入れを拡大しており、円安に喘ぐ日本が競り負ける場面は少なくない。 「AIやDXによって人手不足は解決する」と語る学者もいるが、人口が減少すれば消費は低迷する。機械は消費しないから、AIやDXが普及すれば国内市場は縮小する。好き嫌いは別にして、移民の議論は不可避。いまは、机上の理想論が空中戦している感じだが、現
2024年8月5日読了時間: 1分


vol-831:IT投資をしたら生産性が高まるというのは虚言だ
「サービス業は生産性が低いから、値上げすべきだ」というナンセンスな論理と同様に、経済学の理論を誤用して間違った結論に導いているのが、「日本は労働力が減るのだから、IT や RPA で資本装備率を上げて、生産性を高めるべき」という愚論です。この論理は、じつは、下記の「マクロ生産関数」(コブ・ダグラス型生産関数といいます)を想定するところから始まります。 𝑌𝑡 = 𝐴𝑡𝐾𝑡𝛼𝐿𝑡1−𝛼 ハッキリ申し上げると、こんなものはどうでもいいんですが、とりあえず、小難しく説明することにします。𝑌𝑡 は産出量(実質 GDP)、𝐾𝑡 は資本投入量、𝐿𝑡 は労働投入量。𝐴𝑡 は資本や労働の利用効率を表す概念であり、全要素生産性(Total Factor Productivity, TFP)と呼ばれます。𝛼 および 1 − 𝛼 は産出量の資本投入量および労働投入量に対する弾力性を表し、定常状態においては、資本分配率と労働分配率に等しくなります。上式の両辺を対数変換すると、下記の式が得られ、各変数の差分を∆で表すと、産出量 𝑌�
2021年7月31日読了時間: 8分


vol-708:デジタル化や機械化を唱えても経営は改善されない
「新日常」や「ニューノーマル」という言葉が飛び交っています。ビジネスにおいても、「アフターコロナは、ビフォアコロナと大きく異なる」などと講釈を垂れるコンサルタントが増えています。ある国立研究開発法人は、コロナ禍に求められるイノベーション像を仰々しい報告書にまとめて、デジタル変革を強く推奨し、外国人労働者に頼らずに、労働集約型から脱皮して、自動分別システムなどを導入することを求めました。 日本では、「経済危機に陥ると決まってデジタル化や機械化が推奨され、景気が回復すると忘れ去られる」というサイクルを何度も経験していますが、これも同じ運命でしょう。デジタル化にしても機械化にしても、マネジメントによる徹底的な効率化が推進されて、それでもなお届かない部分を明確化し、範囲を絞って標準化した上で導入されるからこそ効果が発揮されるもの。 外国人どころか日本人のマネジメントすら脆弱なのに、デジタル化や機械化を叫んでも業者の餌食になるだけです。政府のデジタル化の惨状がその証拠。求められる「ニューノーマル」は、マネジメント能力の劇的な向上なのです。
2020年8月8日読了時間: 1分


vol-689:ビジネスにおいてテクノロジーは万能ではない
日本のメディアにおいては、短絡的にDXやAIを推奨する軽薄な専門家が跋扈しており、無邪気にデジタル技術の素晴らしさを崇め奉る輩が少なくない。しかし、専門家には高く評価されたものの、本当の顧客ニーズを掴んでいなかったため、実際におカネを支払う顧客からサポートされることがなく、技術を盲信し偏愛して行き詰ったデジタル系の新興企業は枚挙に暇がない。インターネットが勃興した時代には、投資家が高く評価したベンチャー企業が雨後のタケノコのように世界中に輩出したが、日本でも、ハイパーネット(ネット広告)やクレイフィッシュ(ホスティングサービス)、エフ・プランニング(女性向けファッションEC)等が経営難に陥るなど、少なからぬ先はあっけなく消えて行った。 米国で最も注目を集めたベンチャー企業バーティカル・ネットは1995年に創業。「産業材のオンライン・マーケット」というコンセプトを掲げ、産業材のポータルサイトになることを目指し、化学業界向けの「ケミカル・オンライン」や水処理関連資材の「ウォーター・オンライン」など産業分野毎に50以上のポータルサイトを運営。当初は広告
2020年7月8日読了時間: 4分


vol-682:ロボット導入による人手不足の解決は幻想だった
もはや、昔話の域に達しようとしていますが、「コロナショックが日本全土に襲来する前の時代」において、人手不足が大問題だったとき、「移民を受け入れる必要はない。なぜなら、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション=ロボットによる業務自動化)で対応できるからだ」という勇ましい論陣を張っていた専門家と名乗る怪しい輩が大勢いました。 しかし、現実を見ると、コロナショックが襲来する以前の2019年頃からRPA導入の失敗例が取り沙汰されるようになり、「熱狂」は「幻滅」へと変貌。市場は急拡大から縮小へと転じます。問題は、①対応範囲の狭さと②現場の導入負担と③コスト・パフォーマンス。要するに、完全に標準化できる単純作業には向いていても、判断が係わる業務だと途端に難易度が高まるのです。 あるホテルではロボットを従業員として「採用」したのですが、「おもてなしの心がない」というクレームが顧客から出たため「解雇」した、という事例からも窺い知れるように、挑戦の壁は高くそびえたちます。移民は移民で悩ましい課題が多いのですが、ロボットはロボットで難題山積なのです。
2020年6月29日読了時間: 1分


vol-641:ロボットがつくるレモンサワーはめちゃくちゃ高い
調理ロボや清掃ロボなど、AIやRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)の活用が一部で進んでいます。そうしたことを背景に、わが国の人口減も、AIやRPAで対応できると豪語する論者が絶えません。 居酒屋チェーン「一軒め酒場」などを運営する養老乃瀧は2020年1月23日、「一軒め酒場 池袋南口店」の店内に「ゼロ軒めロボ酒場」をオープンしました。工業用のロボットがビールやサワー、カクテルなどの酒類を提供するカウンター形式のスペースを設け、レジでQR付きチケットを購入し、ロボットカウンターの指定の場所に置くとAI搭載のアーム型ロボットが話しかけながら飲み物を作ってサーブするという仕組みです。本体にはシンプルな“顔”を表示するディスプレーがあり、人間らしさも醸し出しています。 ただ、総コストで900万円かかることもあって、普通に頼むと190円で飲めるレモンサワーを、ロボットが作ると500円になるというのが笑えます。でも、RPA や AI の現場なんて、案外こんなもの。「RPA を導入して生産性を上げろ!」と主張する方は、こういう現実を知ったほうがいいで
2020年4月27日読了時間: 1分


vol-536:AIやRPAを論じる暇があるならビジネスを研磨せよ
無人店舗、セルフレジ、調理ロボ、ロボ倉庫、物流ロボ、誘導ロボ、農業ロボ、AI清掃ロボ、ロボットレストラン、ICT化など、人工知能(AI)や RPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)の活用が進んでいます。そうしたことを背景に、わが国の人口減も、AIやRPAで対応できると豪語する論者が絶えません。無論、生産性の向上が期待できることは事実ですし、大多数とは言いませんが、成功する企業が出てくるとも思います。 ただ、「製造現場を自動化し、新たなビジネスモデルを構築して生産性を向上させることが極めて重要だ」(経産省幹部)という言を借りるなら、大事なのは、「現場の自動化」ではなくて、「新たなビジネスモデルの構築」です。 ビジネスモデルにおいて、「お客さま」は最も重要です。どんなに素晴らしいビジネスモデルを構築しても、「お客さま」が喜んで対価を払ってくれない限り、ビジネスモデルは「絵に描いた餅」になり、AIもRPAも高価なガラクタに堕してしまいます。AIやRPAを語る前に、「お客さま」に支持していただけるビジネスモデルを実働できない限り、何の意味もないので
2019年11月21日読了時間: 1分


vol-467:「人手不足=IT投資」と単純に考える経営者はいない
少なからぬ経済学者は、人口減の話になると、「移民を受け入れなくとも省力化投資で賄える」とか「労働生産性を上げるためにIT投資すべき」などと軽々しく論じます。しかし、システムに詳しいわけでもなく、経営をしたこともないのに、よくもそんな戯言が言えるものです。きっと、日本企業や日本国が、どれだけIT投資で失敗してきたのかを知らないのでしょう。 無論、有効に活用できれば、ITもAIもロボテックスも、生産性向上に大きく寄与することは間違いありません。しかし、そのためには、導入する技術の成熟度や限界を知悉し、技術に対する社員や顧客の受容度を熟知し、経営戦略の中でどこにいつ投入するのが最も効果的なのかを見極め、コスト・プロフィットが十二分に見合うことを確認した上で、果断に実行しなければなりません。そうでなければ、コスト倒れに終わるだけです。 生き残る経営者は、技術の長所を知りつつも、手法やコストや時期が十分に熟すまでは、人員の増減や業務の調整で耐え凌ごうとします。「人手不足だからIT投資しよう」などという軽々しい判断で成功した企業はありません。
2019年8月13日読了時間: 1分


vol-303:縮小均衡の経済を拡大再生産に変えないと意味がない
外国人労働者の受入増に対して、「労働需給が緩和されるから反対」という声が散見されるようになりました。大別すると、①「人数が増えると賃金が下がる」という素朴な「労働需給論」、②「生産性の低い企業は破綻すべき」とする「破綻推進論」、③「AIやロボット化で人手不足は解消される」とみる「AI万能論」に分かれます。これらの論者の過ちは、「賃上げ➡消費増➡売上増➡利益増➡賃上げ」という経済の好循環を思い描いており、賃上げが現状打破の端緒になるとみていることです。しかし、ほとんどの経営者は、「賃上げ➡消費増」という経路を信じていません。少しでも値上げすれば、売上が激減するという厳しい現実に直面しているからです。 実際に起きている企業行動は、「店舗減・時間減・人員減➡正社員の賃上げ回避・アルバイトの賃上げ対応」という縮小均衡。韓国と同じです。もしも、技能実習生や留学生の流入による人手不足の緩和がなければ、とうの昔に景気は腰折れしていたはず。縮小均衡の中でAIやロボットに投資する企業が過半になることなどありません。机上の空論で経済政策を語るのは危険です。
2018年12月5日読了時間: 1分


vol-285:排外主義を唱えるのなら琵琶湖の沖島で起業せよ!
「外国人労働者を入れると、低賃金労働者を前提とするビジネスモデルが変革しないから反対」という声が一部から出ています。中には、「経営者が極限まで追いつめられれば、生産性向上の道が開ける」という勇ましい声も。 しかし、ビジネスモデルを大きく変革するためには、①対象とする市場が今後大きく成長するので投資に見合うという強い期待があること、②新しいビジネスモデルに見合った一段上の生産性のレベルに労働者が成長する見込みがあること、③その投資を行う場所としてその地が最適であること、という条件が必要です。この3条件が揃わなければ、経営者がビジネスモデルを変更することはありません。縮小するか撤退するだけです。 琵琶湖に浮かぶ沖島では、30年前520人だった人口が現在は250人と半減しました。人手不足が技術革新や生産性向上を産み出すのなら、沖島は「日本のシリコンバレー」になっているはず。しかし現状は、ゴミ処理にすら往生しています。人口減少が進む日本は、世界から見れば、沖島のようなもの。こういう論者たちは、沖島に行って是非起業してもらいたいと思います。
2018年11月8日読了時間: 1分


vol-104:「過疎の村は生産性が上がる」って本当?
経済学者に対して、人口減少が日本経済に与える影響を尋ねると、「人口減少と高齢化は経済の停滞を運命づけるものではない。むしろ場合によっては、人口減少や高齢化が経済を活性化する可能性すらある」とか、「成長は1人当たりGDPの拡大による。その1人当たりGDPは、イノベーションで伸びる。供給側の事情を見ても、行き詰まっている社会の方が、イノベーションの動機は大きくなる」「労働力不足になると、飲食店が自動食器洗い機を買うようになる。そうした流れが加速すれば、最新の皿洗い技術が広く使われるようになる。そうした投資が行われれば日本経済の生産性は大幅に向上する」などと答えてくれます。要するに、人手不足になると省力化投資が増えて労働生産性が上がるから日本経済は成長するというのです。 この理論が正しいのであれば、限界集落や過疎の村、人口が長期減少している田舎では、省力化投資が進んで労働生産性が向上しているはずですが、そんな話は聞いたことがありません。こういう無責任な言説を垂れ流す経済学者たちは過疎の村に全員移住させて、村の経済の復活を託したいものです。
2018年2月20日読了時間: 1分


vol-85:入管による在留資格審査はAI化した方がいい?
2018年は「AI(人工知能)」が本格化する年になるのかもしれません。リクルートは学習動画配信サービスにAIを導入し、婚活サイト・ペアーズではAIで相性度を弾き出しています。三井住友海上火災保険は、営業事務の9割をAIで代替する計画を発表。小売・工場・酪農・広告・医療・不動産等活用範囲が広がり、採用面接でもAI化が進みました。注目すべきは、官公庁での利用です。農林水産省ではAIで食品流通を効率化し廃棄ロスを削減する計画に着手しますし、経済産業省では国会答弁への活用に挑戦しています。栃木県宇都宮市ではAIで移住相談に応じていますし、道路管理や保育施設の割り振り・戸籍業務などに活用する地方公共団体も出てきています。 入管審査はどうでしょう。業務量が膨張する中、審査結果の公平さが求められるだけに、本来であれば最もAI化に相応しい業務であるようにも思われます。しかし、AIだったら許可のところを不許可にできる、あるいは、AIだったら不許可のところを許可にできるのが権力の醍醐味。入管がおいそれとAI化に応じるとは思われません。果たして・・・。
2018年1月23日読了時間: 1分
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