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vol-430:AIを使っても起業の成功率が高まることはない

2019年6月19日
読了時間: 2分
  • AI を信奉する人は少なくない。しかし、ビジネスにおけるイノベーションを AI が成し遂げられるかと言えば、答えは「NO」だ。というのは、AI がもたらす「答え」は、良くも悪くもその時点における「常識」、もしくは、「常識」を延長もしくは増幅したものにすぎない。しかし、ビジネスにおけるイノベーションの歴史を振り返ると、「一見して非合理」なやり方である場合が少なくない。要するに「常識的ではない」ケースが多い。しかし、常識的ではないからこそ、他社が模倣できない違いを生む。そして、持続的な競争優位を可能にする。そこにイノベーションの醍醐味がある。

  • 明らかに「一見して非合理」であればこそ、「意識の壁(軽々には成し遂げられない意識変革の難しさ)」を産み、競合他社が模倣することが困難になる。要するに、「非常識」であるからこそ、競合他社に先んじることができ、競合他社との差異を維持できるのである。

  • 例えば、アイリスオーヤマは、あらゆる設備の稼働率を意図的に7割以下に抑え、わざと生産能力に余裕を持たせているほか、外部企業との交渉なしに「売れる新製品を迅速に生産する」ため、ビス一本などの部品から内製化している。生産効率に優れているファブレスメーカーという選択肢を放棄するだけでなく、稼働率をMAXにしないという「非効率な経営」を貫いている。また、生産量だけで言えば、国内工場3つだけで足りるにもかかわらず、工場を「物流拠点」として捉えるアイリスオーヤマは、高速道路のアクセス等を勘案した上で9つの工場に分散し、「非効率な体制」を構築。戦略のひとつひとつは「非合理」に見えるが、「顧客が欲しいものを迅速に生産して供給できる体制を整えることにより、ビジネスチャンスを確実に捉えることができる」という「経営戦略全体の文脈における強力な合理性」を持っている。

  • すなわち、「一見して非合理」であればこそ、イノベーション足り得るのだ。その点が、「一見して合理的なもの(あるいは、平均値的な、中央値のような、平準化した論理)」を瞬時に回答する AIとの「埋めることのできない格差」なのである。「AI で起業の成功率が高まる」などというお伽噺を振りまいている専門家もどきは早晩いなくなるだろう。

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