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vol-1106:AIはAirbnb的なイノベーションを創れない
「イノベーション」の本質を理解するには、Airbnb が成功した経緯を調べることが役に立つ。じつは、Airbnb の誕生によって切り拓かれた市場は、それまでまったく存在していなかったマーケットだった。 Airbnbのライバルはホテル業界である。『ホテル業界の標準的な品質基準に照らせば、Airbnbははるかに劣った選択肢だ。ホテルの部屋でプライバシーを守られながら滞在するのではなく、見知らぬ人のアパートの床に敷かれたエアマットレスや簡易ベッドで寝るのに金を出す者などいるのだろうか』と訝られるのが関の山だった。ところが、Airbnbのサービスが始まると「エアマットレスや簡易ベッドで寝るのに金を出す者がおおぜいいる」ことが明らかになる。Airbnbの利用者のうち40%は、「Airbnbがなければ、旅行に出かけなかったか、知り合いの家に泊まっただろう」と答えている。また、貸し手であるホストのほとんどは、「Airbnbが出現するまでは、一部屋だけにしろ、家一軒にしろ、人に貸そうなどとは思わなかった」と証言している。 『Airbnbができる前、旅行者はホテル
10月24日読了時間: 3分


vol-1104:リモートワークはイノベーションを生まない
日本ではあまり報道されていないが、リモートワークを批判している米国企業の経営者は少なくない。例えば、『リモートワーカーは、働いていないわけではないが、実際には仕事をそれほどしていない』(Blackstone)、『オフィスにいないとプロフェッショナルな成長は難しい』(ディズニー)、『リモートは過去の習慣に戻させる。文化・創造力にとって別物』(JPMorgan Chase)など枚挙に暇がないほどだ。 テスラを創業したイーロン・マスクは、リモートワークを「道徳的に間違っている」として全否定していたし、フェイスブック(現メタ)の創業者マーク・ザッカーバーグは、社内の業績データを示しながら、「在宅勤務者は効率的ではなく、エンジニアはオフィスに来た方がより多くの仕事をこなせる」と述べていた。じつは、ヤフーのマリッサ・メイヤーCEOが、パンデミックが到来する遥か以前の2013年の時点でリモートワークを止めようと試みた時期がある。結局は、社員の猛反対に遭ったので途中で断念してしまったが、当時において、すでに『最善の決断や洞察は廊下やカフェテリアの雑談、人々の新た
10月23日読了時間: 2分


vol-1059:アイリスオーヤマは不得意な分野に異動させる
このところ日本では、個々人の「スキル」を重視する「ジョブ型人事」が脚光を浴びているが、ユニークな家電などで成長を続けているアイリスオーヤマは、ゼロから「スキル」を学ばせるという「一見あり得ない人事異動」を徹底しているのだ。 アイリスオーヤマでは、ある分野の技術を3年かけて極めた社員を、敢えて異なる他分野に異動させて一から学ばせている。「ジョブ型」的な発想からは、決して出てこない「非効率な人事戦略」を実践しているのだ。しかし、そういう非効率で非常識な人事異動を実践しているからこそ、競合他社ができないレベルで、新商品開発が得意な企業風土を形成できる。インテルを立て直したアンドリュー・グローブは、『変化することの意味を経験した社員は、新たな変化にも大きな苦痛なしに再び適応できる』と語っているが、そういう人材を育て続けることが重要なのである。 技術部門でも異動は頻繁です。アイリスでは採用後に配属された部門が園芸部門だったからといって、そのまま園芸用品のプロになるような人事はしません。家電部門、建装部門へと異動します。せっかく知識・技能を覚えても、新しい部
9月21日読了時間: 3分


vol-665:「イノベーション=技術革新」ではない!
マスコミにおいて「イノベーション」という言葉は、「技術革新」という狭い意味で使われがちだが、「イノベーション」という言葉を産み出した経済学者ジョセフ・シュンペーターは、「イノベーション=ちがったやり方でことを運ぶこと」であると広く定義している。 『商品供給方法の変化という言葉でわれわれはそれを文字通りに受け取れば合意するよりもはるかに広い範囲のできごとを考えている。まさに標準的事例として役立つかもしれない新商品の導入をも含める。すでに使われている商品の生産についての技術上の変化、新市場や新供給源泉の開拓、作業の再組織化、材料処理の改良、百貨店のような新事業組織の設立 ―― 略言すれば、経済生活の領域での「ちがったやり方でことを運ぶこと」―― すべてこれらのことはわれわれが革新(イノベーション)という言葉で呼ぼうとするものの事例である』 (ジョセフ・シュンペーター:経済学者) 『イノベーションとは、顧客にとっての価値の創造である。それは科学的、技術的重要度ではなく、顧客への貢献によって評価される。イノベーションの必要性を最も強調すべきは、技術変化が
2020年6月4日読了時間: 3分


vol-645:ウォークマンの大ヒットは新技術主導ではない
1979年に、ソニーが世界初の携帯音楽機器「ウォークマン」を市場に投入した当時、世界初の電気式蓄音機を販売(1930年)した米国のRCAは、「ウォークマン」をつくる技術を持っていた(ソニーの「ウォークマン」は、RCAの技術をライセンスして製造)。しかしRCAは、「携帯できる音楽再生機器」という発想に至らなかったし、その実現に向けて努力しなかった。「技術を持っていること」と「技術を使った製品を売ること」は、次元が異なる話なのである。 ちなみに、ロボット掃除機「ルンバ」を市場に投入したのは、米国のアイロボットだが、開発技術自体はパナソニックや日立製作所も持っていた。また、アップルの iPhone も、各構成要素の技術を日本企業が開発することは可能だった。 また、歴史的に有名な事例としては、Hyatt Roller Bearing Company がある。同社は、ベアリングの発明特許を持っていたが、有効な活用法を発見できずに没落。アルフレッド・スローンの父が、将来を見切った大株主の株を買い受けて、息子のアルフレッドに経営を任せたところ、当技術を自動車に
2020年5月7日読了時間: 3分


vol-611:失われた30年を招いたのは改善のこだわりだった
多くの日本の大企業が「失われた30年」に陥ってしまった原因は、あまりにも、主要顧客が求める「改善」にこだわってしまったために、自らを「イノベーション」に投ずることができずに、潜伏している開拓すべき巨大な顧客ニーズを深堀できなかったことにある。日本企業の得意技は、「イノベーション」ではなく「改善」だったがゆえに、「改善」への信仰が崇拝にまで高まってしまった。その結果、日本の大企業は、付加価値を産み出す力を失ってしまったのである。 『一見もっともらしい理論がいちばん危ない。IQの高い人が経営で過ちを犯すのは理路整然と経営をおこない、理路整然と間違うからだ。・・・理路整然だから正しいということにはけっしてならない。そもそも人間の心理は理路整然とはしていない。いろんな矛盾をかかえながら生きているのが人間の様であって、それが生きている証でもある。その集合体である経済は、ある意味では生物現象の最たるものだ』 (安田隆夫:ドン・キホーテ創業者) 2000年前後に、携帯電話市場を寡占していた日本企業は、「改善」にこだわり、機能の多様化と各機能の高度化に邁進。顧客
2020年3月13日読了時間: 3分


vol-600:HondaJetは専門家たちの思考を超えた
オートバイで「イノベーション」を起こしたホンダは、航空機市場においても、「イノベーション」を創出した。北米では、「コストが安くて誰でも飛行機に乗れる」といったキャッチフレーズが注目を浴びて、2000年前後に小型ジェット機のマーケットが盛り上がり、数多の新規参入を呼び込んだ。しかしながら、結局、ほとんどの新規参入者たちは次々と挫折していく。ところが、航空機では全く実績のないホンダが、まったくのゼロから徒手空拳でスタートし、「空飛ぶクルマ」というコンセプトを掲げて開発した小型ビジネスジェット機HondaJetは、2017年から5年連続で世界1位の販売を記録。同市場で君臨し続けていたセスナ社を抜くという空前絶後の快挙を成し遂げる。 じつは、ホンダの技術者は、飛行機の製造経験ゼロの素人。見よう見まねで全分野を試行錯誤して、最善の組み合わせを無数に探究した結果、主翼の上にエンジンを置くというソリューションに辿り着く。このソリューションに辿り着いた結果、空気抵抗面で大きなメリットが生まれ、客室への騒音が弱まり、かつ客室容積を増やすことができた上に、燃費を良く
2020年2月27日読了時間: 2分


vol-595:規模が大きくなってもお役所は非効率的である
アトキンソンは、「大企業は効率性が高く、中小企業は効率性は低い」という短絡的な宗教を布教しているが、経営の世界はそれほど単純ではない。その事実は、大組織である役所の非効率性を見てみれば明らかだ。 松下電器(現パナソニック)を創業した松下幸之助が『世間ではとかく中小企業は弱いといいます。けれども、大企業が個々の人の力を70パーセントぐらいしか生かすことができなくとも、中小企業は100パーセント、やり方によっては120パーセントも生かすことができるわけです。そういうところに中小企業の一つの大きな強みがある』と断言したように、中小企業や新興企業であればこそ、雇った人材の能力を最大限に活かすことができるという面がある。 実際、日清食品の創業者である安藤百福は、『中小企業は何から何まで自分で工夫しなければならない。余計な資金がないから一歩ずつ着実に踏みしめる健全性がある。そういう小さな大企業になりたい』と述べているのだから、「規模を大きくすれば、成功する可能性が高くなる」という俗論を信じるべきではないのである。 『日本人の国民感情というものは、組織が大きく
2020年2月20日読了時間: 2分


vol-584:大企業は中小企業より効率性が高いとは限らない
ユニクロは1994年に上場を果たした後に失速。この局面について、創業者の柳井正は、「この頃から大企業病が見え始めてきたんです。組織が大きくなるとやはり大企業病になる。だから、それを潰す。アントレプレナーはそれをやる」と語っている。当時のビジネスモデルは、ユニクロを創業したときに、柳井正が見出した「ダイエーのような服の総合スーパー」というものであり、柳井自身「金の鉱脈を発見した」と大喜びしたコンセプトだったが、柳井正は、この「金の鉱脈」(「服屋のダイエー」=いつでも誰でも好きな服を選べる巨大な倉庫)を棄てて、ゼロから創り直した。しかし、こういうケースは極めて稀である。 『気になっていたのは大企業病だ。やはり本部に閉じこもっていると、どうしても自分の立場からしか仕事をしなくなるし、現場のことが意識から遠くなる。社員も本部志向が強まってしまう。官僚的になってしまうことに危機感はあったが・・・妥協していた。そこで本部社員には週5日のうち、土日は店舗で働いてもらうことにした。ニトリでは6年たてば、本部から現場で働く「配転」をしている。・・・会社の敵は惰性で
2020年2月5日読了時間: 4分


vol-469:革新技術に依拠しないイノベーションを追求せよ
日本では、「イノベーション=技術革新」と勘違いしている人が多い。しかし、ヤマト運輸が創始した「宅急便」は、まがうこと無き「イノベーション」である。ヤマト運輸の「イノベーション」は、これまでになかった「新技術」を用いたものではない。ヤマト運輸は、これまでに世の中に存在していなかった「サービス」を提供し、「新業態」を創り上げたのだ。 「宅急便」は、「革新的な輸送技術」を必要としたわけではないが、ヤマト運輸以外は誰も思い付くことがなかった「業態」だったからだ。1970年代、日本における輸送市場は、 ①商業貨物関連と ②個人生活関連 の市場に二分されており、②個人生活関連では、 ⓐ貸切輸送(引越等)と ⓑ小口輸送 に需要が分かれていた。当時、「ⓑ小口輸送の市場」で輸送事業を営んでいたのは郵便小包と国鉄小荷物だけ。ヤマト運輸の小倉昌男は、「無謀」「失敗必至」という批判や冷笑に怯むことなく、メインとして営んできた「①商業貨物関連のビジネス」を棄てて、1976年1月に「宅急便」という「商品」を引っ提げて、この市場への新規参入を断行する。小倉昌男が切り拓
2019年8月15日読了時間: 5分


vol-430:AIを使っても起業の成功率が高まることはない
AI を信奉する人は少なくない。しかし、ビジネスにおけるイノベーションを AI が成し遂げられるかと言えば、答えは「NO」だ。というのは、AI がもたらす「答え」は、良くも悪くもその時点における「常識」、もしくは、「常識」を延長もしくは増幅したものにすぎない。しかし、ビジネスにおけるイノベーションの歴史を振り返ると、「一見して非合理」なやり方である場合が少なくない。要するに「常識的ではない」ケースが多い。しかし、常識的ではないからこそ、他社が模倣できない違いを生む。そして、持続的な競争優位を可能にする。そこにイノベーションの醍醐味がある。 明らかに「一見して非合理」であればこそ、「意識の壁(軽々には成し遂げられない意識変革の難しさ)」を産み、競合他社が模倣することが困難になる。要するに、「非常識」であるからこそ、競合他社に先んじることができ、競合他社との差異を維持できるのである。 例えば、アイリスオーヤマは、あらゆる設備の稼働率を意図的に7割以下に抑え、わざと生産能力に余裕を持たせているほか、外部企業との交渉なしに「売れる新製品を迅速に生産する」
2019年6月19日読了時間: 2分


vol-429:任天堂は技術改善でなくイノベーションを発見
日本における「イノベーション」の議論は「技術面」に偏向しており、「ビジネス」や「顧客」の側面からの切り口が少ない。そこが日本企業の最大の弱みだったりする。 この点、任天堂はわかっていた。2002年、「技術による改善」の限界に直面していた任天堂の立て直しを、創業家社長の山内溥から託された岩田聡は、『我々は声が大きくてゲームをいっぱい買ってくれる人の姿をついつい見てしまう。そこに合わせたモノづくりをどんどんした結果、ゲームをやる人が減っているのではないか』と気付いて、『重要なのは次世代の技術ではなく、次世代のゲーム体験だ』と悟る。そこで、従来の開発スタイルを否定して、「性能を追わない(ゲーム機としての基本性能を向上させる技術は捨てる)」という大方針を打ち出し、「お母さんに嫌われない(家族の機嫌をとるための技術は積極的に採用する)」という新方針を打ち出す。 じつは、東京工業大学工学部情報工学科を卒業した岩田聡は、鳴り物入りで開発が始まった著名ゲームが4年の歳月を経ても完成せずに行き詰っていた際に任天堂から相談され、「いまあるものを活かしながら手直しして
2019年6月18日読了時間: 2分


vol-360:AIが産み出す新商品は必ず過当競争になる
今後、AI が大量に産み出す「新商品」は、「アイデアレベル」に留まる「商品化」が主流になる。運が良ければ、発売当初は独占状態で千客万来になるかもしれないが、「新商品」の存在が業界内で知られるようになると、模倣する業者が湧いて出てくる。しかも、「アイデアレベル」に留まる「商品化」にすぎない場合、模倣されやすい「商品」にすぎないので、粗悪な模倣にとどめて粗利を稼ぐという業者もでてくる。その結果、叩き合いの価格競争が発生。「オンリーワン」という地位を失い、熾烈な値引き競争に巻き込まれていく。 『クリア収納ケースは従来品より2割高い価格だったので、アイリスに大きな利益をもたらしましたが、あれよ、あれよという間に30社が乱立します。経営は競争です。ヒット商品を作ったからといって、いつまでも儲かるわけではない。ヒット商品であればあるほど、他社がそこに目をつけて、類似商品を出してきます』(大山健太郎:アイリスオーヤマ創業者) 『どんなに個性的な繁盛店を作っても、その本質が既存業態の延長であれば、成功ノウハウはすぐ盗まれる。その上同じ商圏に大手が進出してくれば、
2019年3月5日読了時間: 4分


vol-349:イノベーションには技術とリベラルアーツが必要
「技術の改善」の場合は、主要な顧客の意見を聞くことが極めて有効だが、「新たなニーズ」を掘り起こす「イノベーション」の場合、現在の主流派を形成している顧客の意見はあまり役に立たない。それは、その顧客自身が「新たなニーズ」に気付いていないまたは気付くことができないからである。 例えば、エンタメ業界では、「マーケットインで広く作っていくと良い作品にならない」という不文律がある。例えば、NETFLIXでは、コンテンツの制作に視聴者データを利用させない。ユーザーがコンテンツにどう反応したのかをクリエーターには伝えず、あくまでもクリエーターの感性に委ねている。数字に囚われすぎると、同じものを何度も作ることになるからだ。データはあくまでも過去に起きたもので、未来がどうなるかを知らせてはくれない。 メディアでは、「イノベーション」における新技術等の「供給サイド」を重視しがちだが、本当の「イノベーション」は、世の中や人々の生活を大きく変革することを意味するから「需要サイド」に深く関わっている。多くの人々に受け入れられることがない限り、社会にインパクトを与えることは
2019年2月19日読了時間: 3分


vol-245:市場調査していたらホンダは北米進出しなかった
ホンダが北米に持ち込んだ50㏄の配達用バイク「スーパーカブ」は、凄まじい「イノベーション」だった。当時の米国人はオートバイを主に長距離ドライブ用に使っており、最も重視される特性は大きさ・馬力・スピード。そこでホンダは、高速で馬力のある大型オートバイ(250cc・350cc)を特別に開発して米国に乗り込んだのだが、その大型オートバイはコスト以外には秀でたところがなく、ほとんどのバイクディーラーはホンダの製品を扱うことを拒否。 つまり、ホンダが詳細な市場調査をしていたら、「米国に進出すべきではない」という結果が出ていたに違いない。もっとも、新規の分野を探索する際、「市場」がすでにそこにあって、「市場」の規模が大きいので、「市場」のニーズを分析して、適切な「市場」のセグメントを選択し、「市場」に参入すれば、「市場」での競争に勝ち残れるはずだ ―― という机上の計算で実行した「イノベーション」で成功した事例などない。 ホンダが持ち込んだ大型オートバイは、長時間の高速走行をした場合、エンジンがオイル漏れを起こし、クラッチがすぐに摩耗してしまうなど、米国のハ
2018年9月12日読了時間: 3分


vol-205:メンバーシップ型でもイノベーションは起こせる
「ジョブ型」を喧伝し、米国企業を礼賛する論者は、「日本企業のやり方では、専門性が磨かれないのでイノベーションが生まれず、GAFA(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル)も産まれなかった」と主張する。確かに、通販業界やSNS業界のグローバルなプラットフォームに関する限り、日本企業は後塵を拝している。しかし、ゲーム業界において国際的なプラットフォームを提供しているのは任天堂・ソニー・マイクロソフトであり、うち2社は日本企業だ。 実際、日本企業を見渡せば、自転車用変速機の世界シェアで90%を占めているシマノ、半導体製造用マスクブランクスで世界シェア90%を誇るHOYA、半導体用レジスト塗布装置で世界シェア80%を押さえている東京エレクトロン、エンジン計測器の世界シェア80%を持つ堀場製作所、メモリーテスターで世界シェアが70%あるアドバンテスト、医療用内視鏡で世界シェア70%を握るオリンパスなど、世界的にトップシェアを築いている会社は少なくない。 また、上記のような大企業でなくとも、LNG船用安全弁の福井製作所(世界シェア90%)、トンネル集塵
2018年7月18日読了時間: 2分


vol-185:新興企業は過度な成長を求めてはいけない
上場している大手企業は、株価を維持し株主を満足させるため、成長し続けなければならない。それが上場企業の宿命である。そして、会社の規模が大きくなっていくと、同じ成長率を維持するためには、新しく大きな売上高を稼ぐ必要が出てくる。このため、「将来大きな市場になる」と確信した場合でも、上場企業が小さな新興市場に参入することは次第に難しくなっていく。株主を満足させる成長率を維持するためには、規模が大きい市場に的を絞らなければならない。 『成功している企業は、株価を維持し、社員の職務範囲が広がるようチャンスを設けるため、成長しつづける必要がある。しかし、4000万ドルを売り上げる企業が20%の成長率を達成するには、翌年の売上高を800万ドル増やすだけでよいが、40億ドル企業では8億ドルの増収が必要である。これほどの規模を持つ新市場はない。そのため、組織が大規模になり、成功するにしたがい、新しい市場を成長の原動力とすることに無理が生じる』(クレイトン・クリステンセン:経営学者) 新興企業が大企業に負けないためには、「大企業の土俵で大企業と同じルールで戦う」とい
2018年6月19日読了時間: 3分


vol-177:新興企業が成長を急ぐと大企業が襲い掛かる
新興企業が『小規模な市場は大企業の成長需要を解決しない』という鉄則を忘れて、成長を急ぐと、大企業が競合他社として立ちはだかる。「機密情報が記載された書類を廃棄する」という新しいニーズに気付いた明光商会は、1962年に「MSシュレッダー」を開発し、市場を独占。気を良くして大々的に広告を打って拡販に着手したところ、事務機大手リコーの参入を招いてしまった。たまたま、バブルが崩壊してリコーが撤退したことでピンチを免れたが、そのままリコーとの全面対決が続いていたら経営危機に陥いる可能性もあった。同様に、医療用白衣の最大手メーカーのナガイレーベンは、白衣の利益率が低かったため、利益率の引上げを狙って、森英恵にデザインさせた高価格帯の「ブランド白衣」を販売したが、結果的にアパレル大手のオンワード樫山の参入を招いてしまう。これもバブルの崩壊を機に、オンワード樫山が戦線を縮小してくれたことで難を逃れた。 この事情は、大企業の新規事業でも同じ。アマゾンは、ストレージやデータベースなどを提供するAWSを販売しているが、極めて低い水準に価格を留めている。「長期的な赤字要
2018年6月7日読了時間: 3分


vol-142:新興企業はメディアに露出しないほうがいい
大企業と競合することなく、着実に成長していきたいと望むならば、新興企業は、メディアにおける露出を、可能な限り最小限に止めるべきである。 北の達人コーポレーションを創業した木下勝寿は、「わけありグルメ」専門の通販サイトを立ち上げ、「見た目は悪いが、味はまったく変わらない安いカニ」「不揃いだけど激安でおいしいタラコ」などを割引販売して成功を収め、多くのメディアに取り上げられた。「メディアがこれだけ宣伝してくれたら大ヒット間違いなし」と思った木下勝寿の期待はあっけなく裏切られる。テレビの露出で顧客は増えたが、マネる同業者も増えてしまい、あっという間に、大手企業も「わけあり」市場に参入。「わけありグルメ」で検索すると、似たサイトがずらっと並ぶため、顧客はテレビで見たサイトがどれだかわからず、検索した中で一番良さそうな商品、一番安い商品を探すため、自社の売上増に直結しない。木下勝寿は、『アイデア勝負のビジネスはすぐにマネされ、ブルー・オーシャンはすぐにレッド・オーシャンに変わる』と語っている。 ちなみに、室町時代に創業し、600年の時代を超えていまなお営業
2018年4月13日読了時間: 3分


vol-129:「IT投資増=生産性向上」と考えるのは短絡的
経済学者の一部には、「人口が減っても問題はない。なぜなら、人手不足を補うためにIT投資が活発になり、労働者一人当たりの生産性が上がるからだ」という珍説を唱える方がいます。それが正しいのなら、過疎の村は生産性が向上するはずですが、そんな事例は聞きません。人手不足感は年々高まるばかりなのに、2017年の機械受注は5年ぶりの前年比割れになりました。人手不足が顕著な非製造業の弱さが目立つといいます。ローソンのように、人手不足に伴う設備投資が増加し、減益になった例もあります。 「IT 投資増=生産性上昇」という恒等式を信じるのは、現場を知らない学者だけ。経営者であれば、「IT投資増=生産性上昇」にならなかった事例を嫌というほど経験しています。2013 年頃までは「情報化時代に乗り遅れるな」とIT投資が盛り上がりましたが、成果に結びつかず、空振りに終わりました。「情報化投資の効果が生産性の向上に結びつかず、投資しても無駄というトラウマを生んだ」という見方もあるようですが、「IT投資増=生産性向上」という小学生レベルの短絡的な思考こそ批判されるべきでしょう。
2018年3月28日読了時間: 1分
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