vol-205:メンバーシップ型でもイノベーションは起こせる
「ジョブ型」を喧伝し、米国企業を礼賛する論者は、「日本企業のやり方では、専門性が磨かれないのでイノベーションが生まれず、GAFA(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル)も産まれなかった」と主張する。確かに、通販業界やSNS業界のグローバルなプラットフォームに関する限り、日本企業は後塵を拝している。しかし、ゲーム業界において国際的なプラットフォームを提供しているのは任天堂・ソニー・マイクロソフトであり、うち2社は日本企業だ。
実際、日本企業を見渡せば、自転車用変速機の世界シェアで90%を占めているシマノ、半導体製造用マスクブランクスで世界シェア90%を誇るHOYA、半導体用レジスト塗布装置で世界シェア80%を押さえている東京エレクトロン、エンジン計測器の世界シェア80%を持つ堀場製作所、メモリーテスターで世界シェアが70%あるアドバンテスト、医療用内視鏡で世界シェア70%を握るオリンパスなど、世界的にトップシェアを築いている会社は少なくない。
また、上記のような大企業でなくとも、LNG船用安全弁の福井製作所(世界シェア90%)、トンネル集塵機の流機エンジニアリング(同75%)、セロハンフイルムのフタムラ化学(同70%)、大型の水槽パネルの日プラ(同70%)、歯科で使用されるデンタルミラーの岡本硝子(同70%)、カニカマの製造機械のヤナギヤ(同70%)、航空機の化粧室を製造するジャムコ(同50%)、防錆ネジの竹中製作所(同50%)など、中堅企業や非上場企業も少なくない。
そもそも「ジョブ型」は、狭い専門領域の中における蛸壺的な技術研鑽に陥りやすい。だから、破壊的なイノベーションを生み出すには適していないという意見すらある。事実として、「ジョブ型」ではない「メンバーシップ型」の日本企業は、トランジスタラジオやカラオケ、胃カメラ、インスタントラーメン、新幹線、ウォークマン、家庭用ゲーム機、100均など、様々な「イノベーション」を産み出してきた。要するに、「メンバーシップ型では、イノベーションが生まれない」というのは明らかな誤りであり、ありていに言えば「真っ赤なウソ」である。



