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vol-185:新興企業は過度な成長を求めてはいけない

2018年6月19日
読了時間: 3分
  • 上場している大手企業は、株価を維持し株主を満足させるため、成長し続けなければならない。それが上場企業の宿命である。そして、会社の規模が大きくなっていくと、同じ成長率を維持するためには、新しく大きな売上高を稼ぐ必要が出てくる。このため、「将来大きな市場になる」と確信した場合でも、上場企業が小さな新興市場に参入することは次第に難しくなっていく。株主を満足させる成長率を維持するためには、規模が大きい市場に的を絞らなければならない。

    『成功している企業は、株価を維持し、社員の職務範囲が広がるようチャンスを設けるため、成長しつづける必要がある。しかし、4000万ドルを売り上げる企業が20%の成長率を達成するには、翌年の売上高を800万ドル増やすだけでよいが、40億ドル企業では8億ドルの増収が必要である。これほどの規模を持つ新市場はない。そのため、組織が大規模になり、成功するにしたがい、新しい市場を成長の原動力とすることに無理が生じる』(クレイトン・クリステンセン:経営学者)

  • 新興企業が大企業に負けないためには、「大企業の土俵で大企業と同じルールで戦う」という愚を絶対に避けなければならない。そのときに忘れてはならないのは、『小規模な市場は大企業の成長需要を解決しない』(クレイトン・クリステンセン:経営学者)という極めて重要な鉄則である。巨額の新規売上を求めている大企業にとって、市場が小規模であるうちは、その市場はほとんど魅力がない。だから、進出を検討する気にもならない(戦わなくて済む)。小規模の新興企業にとっては、売上高を伸ばし成長を加速させながらも、急速に大きく伸びているように対外的には気付かせないという戦術を採ることが極めて大切になる。

  • 新興企業が大手企業と競合せずにニッチ市場を独占するためには、市場規模・利益率・成長率に関して「量的コントロール」を行う必要がある。すなわち、市場規模を大きくしない(魅力的な市場に見せない)、利益率を高くしない(単価を上げない)、成長率を高くしない(投資の回収期間を長くする)という戦略が重要。じつは、Point to Point型で成功していたサウスウエスト航空は、多くの空港から招致されたが、身の丈に合った「抑制された成長」にこだわり、自らの戦略に完全にフィットした空港を厳選して、ゆっくりだが着実に成長する道を選んだ。そのことが大手の新規参入を遅らせた。

  • 日本のスポーツ用品で言うと、タマス(卓球ラケット)、三英(卓球台)、セノー(運動機器)、ミカサ(バレーボール)が典型例。これらの企業は、市場規模が、野球やランニングほど大きくなく、アシックスやミズノなどの大手が参入してこない市場で圧倒的な地位を築き、寡占を維持している。

  • アホな経営コンサルタントは「成長の重要性」ばかり強調するが、現実の経営においては、「抑制された成長」こそが重要なのである。

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