vol-595:規模が大きくなってもお役所は非効率的である
アトキンソンは、「大企業は効率性が高く、中小企業は効率性は低い」という短絡的な宗教を布教しているが、経営の世界はそれほど単純ではない。その事実は、大組織である役所の非効率性を見てみれば明らかだ。
松下電器(現パナソニック)を創業した松下幸之助が『世間ではとかく中小企業は弱いといいます。けれども、大企業が個々の人の力を70パーセントぐらいしか生かすことができなくとも、中小企業は100パーセント、やり方によっては120パーセントも生かすことができるわけです。そういうところに中小企業の一つの大きな強みがある』と断言したように、中小企業や新興企業であればこそ、雇った人材の能力を最大限に活かすことができるという面がある。
実際、日清食品の創業者である安藤百福は、『中小企業は何から何まで自分で工夫しなければならない。余計な資金がないから一歩ずつ着実に踏みしめる健全性がある。そういう小さな大企業になりたい』と述べているのだから、「規模を大きくすれば、成功する可能性が高くなる」という俗論を信じるべきではないのである。
『日本人の国民感情というものは、組織が大きくなるほど極端に能率が上げにくい状態になってきます。なかでも一番能率の上がらないのはお役所ではないでしょうか。お役所の人は働かないのではなく、働けないのでしょう。のびのびと働けないような情勢がモヤモヤとそこに渦巻いていて、いわゆる事なかれ主義という傾向になりやすいのだと思います。大企業もそういう面を持っています。企業が大きくなればなるほど、いわゆるお役所気分というものが強くなってきます』(松下幸之助:松下電器創業者〈現パナソニック〉)
中小企業は「お役所気分」では成り立たない。だから、否応なしに働かなければならない。また、従業員が20人とか50人ということであれば、お互いの気心や動きがよくわかって、打てば響く素早い動きができやすい。松下幸之助は『私は中小企業ほど人がその能力を十分発揮しつつ働きやすいところはないし、また実際よく働いていると思うのです』と明言しており、「規模が小さい=生産性が低い」という俗説の間違いを端的に指摘している。
アトキンソンは、経営の現場を知らなさすぎる。小西美術工藝社の社長として経営しているはずなのに。



