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vol-429:任天堂は技術改善でなくイノベーションを発見

2019年6月18日
読了時間: 2分
  • 日本における「イノベーション」の議論は「技術面」に偏向しており、「ビジネス」や「顧客」の側面からの切り口が少ない。そこが日本企業の最大の弱みだったりする。

  • この点、任天堂はわかっていた。2002年、「技術による改善」の限界に直面していた任天堂の立て直しを、創業家社長の山内溥から託された岩田聡は、『我々は声が大きくてゲームをいっぱい買ってくれる人の姿をついつい見てしまう。そこに合わせたモノづくりをどんどんした結果、ゲームをやる人が減っているのではないか』と気付いて、『重要なのは次世代の技術ではなく、次世代のゲーム体験だ』と悟る。そこで、従来の開発スタイルを否定して、「性能を追わない(ゲーム機としての基本性能を向上させる技術は捨てる)」という大方針を打ち出し、「お母さんに嫌われない(家族の機嫌をとるための技術は積極的に採用する)」という新方針を打ち出す。

  • じつは、東京工業大学工学部情報工学科を卒業した岩田聡は、鳴り物入りで開発が始まった著名ゲームが4年の歳月を経ても完成せずに行き詰っていた際に任天堂から相談され、「いまあるものを活かしながら手直ししていく方法だと2年かかります。イチからつくり直していいのであれば、半年でやります」と申し入れて、発言通りに完成させてしまった天才プログラマー。

  • 天才プログラマーである岩田聡は、技術の高度化を追求したくなる専門家としての本能を、経営者としての「人間の本性」に関する深い洞察で抑え込み、ニンテンドーDS(携帯型ゲーム機)やWii(据え置き型ゲーム機)という「イノベーション」を実現させた、という点で類まれなる優れた「企業家」であると言える。

  • その結果、任天堂は、ニンテンドーDSに辿り着き、Wiiを創造することによって復活した。「技術の改善」という側面に囚われていた任天堂は、「技術の改善」という思考を棄てることによって、生き残りの道を見出したのである。


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