8月4日、厚生労働省は、最低賃金(時給)を63円引き上げる(全国平均)とする目安を示した。全国平均は1,118円となり、すべての都道府県の最低賃金が1,000円を超えることになる。東京都は1,163円から1,226円に引き上げるというのだから、企業経営の実態を無視している。景気が絶好調ならともかくとして、トランプ関税等もあり先行きは極めて不透明。最低賃金を2020年代に1,500円という政府方針に則って、逆算した結果なのだろう。 しかし、すでに悪影響は表れている。労働需給を最も鮮明に反映するアルバイトの有効求人倍率は、1.50倍(2023年1月)から1.03倍(2025年6月)に下落。じつは、2023年7月から有効求人数は前年割れを続けており、2年間もの長期に亘って、現場における企業の雇用意欲は減衰を続けている。 石破首相は「賃上げでさらに経済が活性化し、事業体が伸び、それにふさわしい賃金が支払われるという好循環が期待される。賃上げこそが成長戦略の要だ」と述べているが、現実は「賃上げこそが雇用意欲減衰の要」になっている。現実を直視しない経済政策が実りある結果をもたらすことはない。