10月3日から東京都の最低賃金が1,226円に引き上げられるなど、初めて全国すべての都道府県で最低賃金が1,000円を超えた。この施策の背景には、「最低賃金の引上げを契機に、企業は労働生産性の向上に努める。一方、賃金の引上げで消費者の購買力が向上し、販売価格の上昇を通じて企業の売上高が増える。結果的に、企業業績が改善するから、さらなる賃上げを実施できるようになり、経済の好循環が実現する」という机上の空論がある。 じつは、経済産業省のシンクタンク「経済産業研究所」が出した論文「Who Pays for the Minimum Wage in the Japanese Manufacturing Sector?(最低賃金の上昇を負担したのは誰か?)」はこの論理を否定。「日本企業は、最低賃金の上昇圧力に対して、事業と雇用を縮小させることで対応しており、販売価格の引上げで生産性を向上させた証拠は得られなかった」と結論付けた。 当たり前だが、「労働生産性の向上➡企業業績の改善➡賃上げ余力の発生➡最低賃金引上げの許容」という筋道が逆転することはない。経営の論理を無視した愚策が数多くの企業を苦境に陥れる。政策当局者の罪は本当に重い。