vol-286:違法派遣インフラは増殖し膨張し続けるのか?
「派遣先免責論」の上に構築された「違法派遣インフラ」は急成長し、在留外国人のコミュニティにおける認知度も格段に向上した。この「違法派遣インフラ」が完成しているため、旅行や知人訪問で来日したばかりの外国人でも、派遣会社とつるんでいる同国人のブローカーさえ知っていれば、日本ですぐに働くことができる。過去と比べると、「短期滞在ビザ」で来日した外国人は、極めて簡単に日本国内で就労できるようになった。残念ながら、最近は「短期滞在ビザでは就労できない」という事実を知らず、「このビザで働けると言われた」と胸を張って答える来日外国人が急増している。
こうした状況下、短期滞在で入国した外国人が大量に水面下に潜るという形で、日本では「不法残留+偽造在留カード+違法派遣」という「鉄のトライアングル」が形成され、「違法派遣インフラ」はさらなる急成長を遂げている。ただし、そのトライアングルの中核で「違法派遣インフラ」を支えているのは、中小の派遣会社ではない。ここまで詳述してきたとおり、実質的に「違法派遣インフラ」を構築し維持しているのは派遣先大企業である。そして、その構図を理論的に支えているのが「派遣先免責論」。法理としては根拠薄弱な「派遣先免責論」が大手を振ってまかりとおっており、実際に派遣先大企業の関係者が逮捕されて有罪になることはほとんどない 。したがって、「派遣先免責論」を打ち破って、派遣先大企業が実際に摘発されない限り、「違法派遣インフラ」は成長を続け、「不法就労」は隆盛を誇り、さらなる「不法残留」を招いていくことになる。
もっとも、「違法派遣インフラ」を摘発するのは簡単である。関東近辺に多数存在する食品工場の従業員出入口で、片っ端から外国人労働者に職質を行い、在留カードをチェックし、偽造在留カードを見分けるアプリで確認するだけでよい。本物の在留カードで在留期限内の場合も、「技術・人文知識・国際業務」で派遣されている場合は摘発対象になる。正社員の場合は「将来管理職になるための実務研修」として工場内の作業は認められ得るが、派遣社員は「工場の会社で将来管理職になる可能性がない」から「不法就労」になる 。大漁は間違いない。
「派遣先免責論」が業界慣行として通用している限り、「違法派遣インフラ」は、短期滞在や不法残留をも吸収して成長を続けていく。今後は、観光や知人訪問で来日して「違法派遣スキーム」で就労する外国人が急増していくことになるが、短期滞在や不法滞在でも就労の機会を与えてくれる「違法派遣インフラ」は、出稼ぎ外国人にとって救いの神だ。不法残留者に対するビジネスを手掛ける業者が増え、そういう業者が増えれば増えるほど、不法滞在者は減らなくなっていく。そして「違法派遣インフラ」はまだまだ増殖・膨張を続けていくことになる。



