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vol-1079:今度こそ不法残留幇助を立件し有罪にできるのか?

10月3日
読了時間: 3分

更新日:10月4日

  • 2026年10月1日、不法残留のタイ人に住宅を貸したとして、茨城県警常総署や県警組織犯罪対策2課などの合同捜査班は、入管法違反(不法残留幇助)の疑いで、タイ国籍の女を逮捕した。「住む場所を教えてあげて私が仲介した」と容疑を認めている。県警は、不法滞在者に住まいを提供するブローカーとみて調べているという。

  • 同年1月31日から5月20日までの間、タイ国籍の20~30代の男女2人(窃盗と入管法違反の罪で起訴)が在留期間が過ぎていることを知りながら、自分が月6万円で借りた民家を月7万円でまた貸しし住まわせたらしい。県警の調べによると、不法滞在者ら100人以上に住まいを紹介していた疑いがあるだけでなく、仕事(犯罪を含む)も紹介した疑いがある。

  • 不法残留外国人に対して、住居を貸与したり、斡旋する行為を「不法残留幇助」として摘発し、有罪にできるようになれば、オーバーステイは間違いなく激減する。是非、警察と検察には頑張ってほしい。というのは、これまでは、同様の事件で不起訴に終わるケースが少なくなかったからだ。

  • 2024年秋、管理しているマンションに、不法残留と知りながら、インドネシア人29人を住まわせたとして、入管法違反(不法残留幇助)の疑いで、茨城県の不動産会社の経営者と異なる不動産会社の役員が書類送検された。検察に起訴を求める「厳重処分」の意見が付されたという。しかも、この不動産会社の経営者らは、「空き室対策のために、オーバーステイと知りながら住まわせていた」と認めていた。しかし、不起訴処分に終わったようだ。

  • 2025年秋にも、在留期限の過ぎたインドネシア国籍の男7人を京都市内の民家に住ませたとして、入管法違反(不法残留幇助)の疑いで、インドネシア国籍の容疑者が逮捕された。民家2棟で、7人を含む計19人が共同生活していたという。同容疑者は、同国からの技能実習生の受け入れ支援に従事。日雇いの解体業や清掃業など、不法残留者への仕事の斡旋なども行っていたとみられている。同時期、長野県でも、不法残留を知りながら住居を提供した不法残留幇助の疑いで、タイ国籍の女性が逮捕された。不法残留や旅券不携帯などのタイ男女18名を支援したという。また、大阪でも、不法残留のベトナム籍の男にマンションの部屋などを貸したとして、不動産会社を経営する台湾出身の女性が書類送検された。しかし、その後、起訴されたというニュースはない。

  • 刑法では、他人が実行した犯罪であっても一緒に企てて犯罪を遂行した場合や、他人に犯罪の方法を教えたり道具を提供して容易にしたりすると、共同正犯や教唆犯、幇助犯として刑罰が科される可能性があるものの、「不法滞在とは知らなかった」と言い張られた場合、共同正犯も幇助犯も成立しない。故意がなければ犯罪は成立しないからだ。ここでいう「故意」とは、「不法残留であることを知っていたこと」を指す。

  • また、同居人の不法残留を知っていて幇助したとして起訴されたものの、無罪判決が言い渡されたという事例もある(東京高等裁判所令和元年7月12日判決)。この事例では、起訴された人が「同居人が不法残留であったことは知っていた」としても、一方的に養っていたわけではないし、同居人が不法残留していることを周りや入管庁に対して隠していたものでもないため、不法残留を「容易にした」とまではいえないとして、無罪とされた。

  • もっとも、同判決では、「不法残留は、在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過し

    て本邦に残留した、という不作為犯であるから、被告人の行為が、不法残留者の正犯行為を促進する危険性を備えたものと評価することは困難というべきである」と述べているから、仕事を紹介したり、「オーバーステイでも借りられる」という宣伝をすることは、この判決の適用範疇ではあるまい。

  • 今度こそ不法残留幇助を立件し有罪にできるのか? -- 結果を見守りたい。

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