vol-341:チャーハンやシューマイは資格外活動ではない
入管法における「資格外活動違反」について争われた事件は少なくないが、個人的に最も味わい深いと思っている判例は、「ラーメン店事件」(東京地裁判決:2011.2.18)である。
この「ラーメン店事件」で逮捕された中国人は、元々は、中華料理の調理人として『技能』の在留資格を得て、中華料理店で就労していた。しかしながら、中華料理店の売上が思わしくなく、通勤が大変であったことから、店を辞めて転職先を探したものの、本格的な中華料理店の求人がなかったため、止むを得ずラーメン店に就職したという経緯がある。そして、そのラーメン店では、ラーメンだけでなく、チャーハンやシューマイも提供していた。
この状況を発見した入管は、ラーメン店の調理人として従事していた中国人に対して、「ラーメンの調理は単純労働である」と判断し退去強制を命じたのだが、この退去強制命令に関して、東京地裁は、「単純労働にすぎないとは言い難い」と判示して、入管の退去強制命令を取り消させたのだ。
この「ラーメン店事件」の判決は、「ラーメン店で提供されるメニューのうち、味噌ラーメン、ちゃんぽん、皿うどん等については、遡ればその起源が中国にあり、又は中国人が考案したものであるものの、その後高度に日本化されたものであり、その調理が・・・中華料理の調理に当たるということは困難である」と断った上で、「もっとも、チャーハンやシューマイは、中華料理に含まれるということができるのであり・・・調理のほとんどは中華鍋である四川鍋又は北京鍋を使用して行われていることなどからすれば、・・・一定期間の修練や実務経験がなくても容易に行うことのできる単純労働にすぎないと断じることも、適切ではないと言うべきである」と判示した。
この判決は、「単純労働」を「一定期間の修練や実務経験がなくても容易に行うことのできる業務」と定義づけた面でも意味がある。というのは、「技術・人文知識・国際業務」の「技術」や「人文知識」に関しては、法令上、「学術上の素養を必要とする一定水準以上の業務」と定められているのだが、「一定水準以上」の解釈があいまいだからだ。「ラーメン事件」における「単純労働」の定義にならうならば、「一定期間の修練や実務経験がなければ行えない業務」であれば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格該当性に相当する可能性が高まる。
入管法における「資格外活動」の定義に興味がある方は、是非、「ラーメン店事件」の判決文を味わって読んでいただきたいと思う。



