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vol-346:「主たる活動」と「従たる活動」とは何か?

2019年2月13日
読了時間: 4分

更新日:10月25日

  • 入管法における「資格外活動違反」を理解する際に必要な「主たる活動」と「従たる活動」について理解している人は少ない。申請業務を営んでいる行政書士もそうである。というのは、この「主たる活動」と「従たる活動」という概念は、入管法令に明記されていないだけでなく、出版されている各種の「入管法入門」という書籍にもほとんど書かれていてないからだ。「主たる活動」と「従たる活動」という概念は、入管法違反事件(資格外活動違反)の判決文を丹念に読んでいないとわからない。だから、知らない人が圧倒的に多い。

  • 例えば、新入社員に「実務研修」を課す場合を想定してみよう。日本企業の場合、外国人であっても、正社員として「研修」するために、長年にわたるキャリア形成の一環として、工場での生産活動への参加、店舗に派遣しての接客など、現場の経験を積んだうえでキャリアアップを図らせるというケースが多い 。これらの職務は、『技術・人文知識・国際業務』の「資格外活動」と見做される場合が少なくないが 、入管は、キャリア形成の全体像、雇用する外国人社員の人数、現場での職務内容や期間等を含めて、総合的には許可され得ることを認めている。その際に、重要なのが「主たる活動」と「従たる活動」という概念である。

  • 「主たる活動」というのは、在留資格を申請したときに審査された「活動」であり、在留資格を付与する際に認めた「活動」のことである。例えば、「技能ビザ」を取得した調理師の外国人が認められた「活動」は「調理」であって、それ以外の「活動」ではないが、彼が休暇を取って日本国内を観光することは自由である。というのは、「日本国内を観光する」という「活動」によって、収入や報酬を得ることはないからである。こうした「収入や報酬を伴わない活動」を大々的に行ったとしても、「主たる活動」を停止していないのであれば、「就労」を「活動」によって区分し、「特定の活動によって収入を得ることだけを許可する」という現行の在留資格制度に何ら違背することはない 。

  • 入国管理法第19条は、「(主たる)活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬(業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定めるものを除く。)を受ける活動」を禁止しているだけであって、在留外国人による「収入や報酬を伴わない活動」については、何ら禁止していないからだ。

  • この点、「実務研修」の場合、会社から給料をもらっているため、「収入や報酬を伴った活動」であることが問題になり得る。しかし、その「活動」が、「主たる活動」に属している「従たる活動」の範囲であるとするならば、入管法上、問題はない(判例上確立している)。特に、その「従たる活動」に費やす時間が、「主たる活動」に費やす時間と比べて圧倒的に少ないため、「主たる活動」の妨げになることがない(要するに「専ら」ではない)だけでなく、むしろ「主たる活動」を成立させるために必要な「従たる活動」である場合、その「従たる活動」は、在留資格が許可した「活動」の中に明らかに属していると考えられる 。「実務研修」という「活動」は、まさにここで指摘した「従たる活動」の範疇に入る。

  • 例えば、プログラマーとして、『技術・人文知識・国際業務』を取得した場合、「会社内においてプログラミングを行うこと」が「主たる活動」になる。しかし、プログラミングとは無関係の社内会議」という「活動」は「プログラミング」ではないが、「主たる活動」を続けるために不可欠な「活動」である。また、職場での座席移動があった際に、「PCや事務机を移動すること」も「プログラミング」ではないが、「主たる活動」を続けるために必要な「活動」である。現実的に「主たる活動」だけで「就労という活動」は完結し得ず、「従たる活動」なしに「主たる活動」は成り立たない。

  • わが国の在留資格制度は、「在留資格」が許可した「活動」と何ら関係のない「活動」を可能にするために、制度上は「資格外活動」の申請すら認めている。「資格外活動」の申請すら認めているという状況下で、「活動」の中の「従たる活動」を認めないという法理はありえない。ちなみに、「資格外活動」が許可されるためには、「申請人が申請に係る活動に従事することにより、現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものではないこと」が条件になるほか、「現に有する在留資格に係る活動を維持していること」が必要である。すなわち、「従たる活動」に関しては、「主たる活動」を妨げるものではなく、むしろ「主たる活動」に必要な「活動」であり、「主たる活動」自体が継続されているのであれば、入管法上問題はないのだ。

  • もっとも、そういう入管法の知識を持たないで、無防備なまま、外国人を雇用していると、「資格外活動」を行っているという疑いを抱かれて、家宅捜索され、一発で逮捕される場合もある 。まずは、雇っている外国人が就いている業務が、獲得している在留資格の「在留資格該当性」で十分説明できるものなのかをチェックした上で、現在の業務が一見単純作業に見える場合は、それが「将来、在留資格該当性に該当する業務を任せるために必要な業務」なのであれば、現在の業務が「従たる活動」であることを正々堂々と説明できるように、客観的証拠で立証できるだけの準備をしておくべきである。



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