top of page

vol-1051:VUCAの時代におけるリスキリングはリスキーだ

4 日前
読了時間: 2分
  • 日本の人材業界では、求職者が持っている「スキル」と求人企業が求める「スキル」を「マッチング」すればよいと考える「スキルマッチング思考」が支配的であり、転職を成功させるためには、必要とされる「スキル」を身に付ける「リスキリング」が推奨されている。これは、2024年8月に政府が公表した「ジョブ型人事指針」が示した方向性と同じである。要するに、「職務(ジョブ)ごとに要求されるスキルを明らかにすることで、労働者が自分の意思でリスキリングを行え、職務を選択できる制度に移行していくことが重要である」という考え方だ。

  • しかし、現代は、予測が難しい「VUCAの時代」だと言う。「VUCA」とは、「Volatility:変動性」、「Uncertainty:不確実性」、「Complexity:複雑性」、「Ambiguity:曖昧性」の4つの単語の頭文字をとった造語。要するに、「将来が読めない」と言われているわけだ。

  • 将来が読めなくなればなるほど、将来において必要とされる「スキル」を予測することは困難になる。また、3ヶ月程度の努力で身に付けることができる「スキル」など、「専門性」としてビジネスの現場で通用するはずもない。要するに、「将来において必要とされるスキルを予測できる」とか「短期間のリスキリングでスキルを取得できる」という「リスキリング」の前提は誤っているのだ。

  • 冷静に考えてみればよい。「スキルセット思考」に基づく転職を目指す場合、まず、①近未来において必要とされる「スキルセット」を正確に予想し、②その「スキルセット」を学び、③自分の「スキルセット」の水準で雇ってくれる求人企業を探す、という手順になる。必要とされる「スキルセット」の予測を外してしまったら、一巻の終わり。極めてリスキーで確実性のない処世術である。

  • 「リスキリング」という概念は、まったく異なる「スキルセット」を必要とする職務への配置転換が発生しない「ジョブ型雇用」が主流の欧米で発達した。「ジョブ型雇用」というのは「スキルセットで雇う」という考え方なので、「スキルセット」を変えない限り、「職」を変える転職ができない。だから、「リスキリング」が必要になる。しかし、その欧米ですら、政府が主導した「リスキリング」が成功した事例は少ない。

  • 将来が読めなくなればなるほど、「如何なる状況に陥っても変化に対応できる能力と向上心や努力」という一般的な人間力(≠スキル)が一段と重要になっていく。「リスキリング」と言う考え方は、かなりリスキーである。

bottom of page