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vol-1103:世界で戦うユニクロの強みは日本式経営だ!
ユニクロを創業した柳井正は、「泳げない者は沈めばいい(注:Sink or Swim)」という激しい言葉で知られている。実際、ユニクロの人事は、年功序列などまったく関係のない徹底的な実力主義が採られているので、外からは「ゲゼルシャフト(機能的組織)」的な社風と見られがち。しかし、創業者の柳井正は「日本の強みをユニクロの強みとする」と明言している。日本では、「ゲゼルシャフト」を志向していると見られがちの柳井正ですら、じつは「ユニクロはゲマインシャフト(共同体組織)だ」と認識していることを重視すべきだ。要するに、多くの日本企業にとって、異なる文化の下で形成されてきた「ジョブ型」を基盤にして人事制度を組み立てるのは完全なナンセンスなのである。 (注)『Sink or Swim』は、柳井正が最初に述べた台詞ではなく、元々は、マイクロソフトを創業したビル・ゲイツの言葉である。彼は、「この激動期において、生き残るにはどうすればいいのか?」と問われたときに、インターネットという「破壊的イノベーション」をビジネスにおける「津波」に例えて、「溺れたくなければ泳ぐし
10月22日読了時間: 3分


vol-1100:「ジョブ型」から助け合いの文化は生まれない
日本において、「ジョブ型(注)=職務給」は、何度も導入が試みられてきたが、その度に巧みに換骨奪胎されてきた。また、「ジョブ型」を導入することによって、本当に「労働生産性が高まる」というのであれば、とっくの昔に、日本企業においても「ジョブ型」が定着していたに違いない。しかし日本では、「メンバーシップ型」が企業風土に浸透し、「ジョブ型」は根付かなかった。それは、「日本で当たり前とされている働き方」が「ジョブ型」では困難という事実が背景にある。 (注) 欧米における「ジョブ型」とは、仕事の内容を明確に定めて、定義に合致した人材を採用・配属・育成する人事制度のことをいう。「ジョブ型」の場合、JD(Job Description)に明記されている職務を遂行することによって、労働対価をもらうという原則になるので、JDに明記されていない業務は「させない方針」でマネジメントするか、「追加業務に関する追加賃金」を合意した上で業務を依頼する。このため、欧米企業の社内では、「This is not my business」「It’s not my fault」という言
10月22日読了時間: 4分


vol-1076:「ジョブ型人事」は日本企業に合わなかった
リクルートマネジメントソリューションズと日経ビジネスが共同で実施した「ジョブ型人事制度の運用実態調査」において、「ジョブ型による人事制度は期待通りの成果を挙げられているか?」という問いに対して、「得られている」という回答が40.1%あったものの、その一方で、「得られていない(22.7%)」と「どちらとも言えない(31.0%)」を合わせた「明確な成果を実感できない派」が過半数(53.7%)を占めた。 社員の年功にとらわれず「適所適材」の人材戦略を実現できる手段として注目されてきた「ジョブ型人事」だったが、期待と実態とのズレが浮上した形だ。実施率が最も高い施策は、「職務評価による職務等級格付け」(45.1%)、次いで「キャリア研修」(41.2%)、「管理職の評価力向上研修」(39.9%)。その一方、「退職勧奨の実施」(8.8%)、「異動後のサポート施策」(17.8%)、「外部労働市場に合わせた賃金水準設計」(20.3%)、「等級の下方改定(降格や職務変更によるグレードダウン)の実施」(21.2%)は実施率が低い。 衝撃的だったのは、実施企業の約3割が
9月30日読了時間: 2分


vol-1061:GHQは日本企業にジョブ型を導入できなかった
敗戦後の1946年7月に、GHQが招聘した米国労働諮問委員会は、「我が国の賃金に対する批判と勧告」という報告書を作成し、賃金方式を「ジョブ型=職務給」に変更すべきとする方針を打ち出したという歴史的事実がある。しかし、四半世紀を経過した1970年になっても「ジョブ型=職務給」を導入した大企業は18%にすぎなかったという。この事実から見ても、「ジョブ型」を日本的経営において根付かせることが如何に困難かがわかる。独裁的な権限を持っていたGHQが旗を振っても根付かなかった「ジョブ型」が軽々に定着するわけもない。 『現在の如き年齢、性及び婚姻状態の相違に基礎をおく賃金給料制度は経済的に不健全であり関係被傭者に対しては不公平であり……本委員会は日本政府及び日本の民間産業が職務評価の健全な原則即ち被傭者の個人的条件即ち性、年齢或は、婚姻状態に基かず、当該職務に必要な義務及び責任に基づく所の賃金給料制度に向かって努力することを勧告する』 (我が国の賃金に対する批判と勧告:米国労働諮問委員会) 1947年4月に来日し、日本の賃金慣行を視察した世界労連日本調査団も、
9月21日読了時間: 4分


vol-1060:日本企業における「ジョブ型」は紛い物が多い
近年、日本のメディアでは、「ジョブ型雇用」が称賛され推奨されている。このため、「メンバーシップ型雇用」に係わるデメリットが強調され、「ジョブ型雇用」のメリットばかりが喧伝される傾向がある。例えば、人事コンサルティング会社マーサージャパンによる大企業の管理職を対象とした調査(2020年9月)によれば、現状の雇用は、「メンバーシップ型」が34%、「どちらかというとメンバーシップ型」が30%で、「どちらかというとジョブ型」が15%、「ジョブ型」が21%であり、「メンバーシップ型」64%に対して、「ジョブ型」が36%の比率だったが、3~5年後の見通しを聞くと、「メンバーシップ型」44%に対して、「ジョブ型」56%と逆転。日本企業(特に大企業・上場企業)において、「ジョブ型」へと向かう潮流を観察することができる。 また、パーソル総合研究所の調査(2021年6月)によると、「ジョブ型」を導入企業は18.0%で、導入検討企業は39.6%であったし、「求人広告」や「合同企業説明会」を展開している学情が「ジョブ型採用」について調べたところ(2022年1月)、「20
9月21日読了時間: 4分


vol-1059:アイリスオーヤマは不得意な分野に異動させる
このところ日本では、個々人の「スキル」を重視する「ジョブ型人事」が脚光を浴びているが、ユニークな家電などで成長を続けているアイリスオーヤマは、ゼロから「スキル」を学ばせるという「一見あり得ない人事異動」を徹底しているのだ。 アイリスオーヤマでは、ある分野の技術を3年かけて極めた社員を、敢えて異なる他分野に異動させて一から学ばせている。「ジョブ型」的な発想からは、決して出てこない「非効率な人事戦略」を実践しているのだ。しかし、そういう非効率で非常識な人事異動を実践しているからこそ、競合他社ができないレベルで、新商品開発が得意な企業風土を形成できる。インテルを立て直したアンドリュー・グローブは、『変化することの意味を経験した社員は、新たな変化にも大きな苦痛なしに再び適応できる』と語っているが、そういう人材を育て続けることが重要なのである。 技術部門でも異動は頻繁です。アイリスでは採用後に配属された部門が園芸部門だったからといって、そのまま園芸用品のプロになるような人事はしません。家電部門、建装部門へと異動します。せっかく知識・技能を覚えても、新しい部
9月21日読了時間: 3分


vol-1051:VUCAの時代におけるリスキリングはリスキーだ
日本の人材業界では、求職者が持っている「スキル」と求人企業が求める「スキル」を「マッチング」すればよいと考える「スキルマッチング思考」が支配的であり、転職を成功させるためには、必要とされる「スキル」を身に付ける「リスキリング」が推奨されている。これは、2024年8月に政府が公表した「ジョブ型人事指針」が示した方向性と同じである。要するに、「職務(ジョブ)ごとに要求されるスキルを明らかにすることで、労働者が自分の意思でリスキリングを行え、職務を選択できる制度に移行していくことが重要である」という考え方だ。 しかし、現代は、予測が難しい「VUCAの時代」だと言う。「VUCA」とは、「Volatility:変動性」、「Uncertainty:不確実性」、「Complexity:複雑性」、「Ambiguity:曖昧性」の4つの単語の頭文字をとった造語。要するに、「将来が読めない」と言われているわけだ。 将来が読めなくなればなるほど、将来において必要とされる「スキル」を予測することは困難になる。また、3ヶ月程度の努力で身に付けることができる「スキル」など、
9月20日読了時間: 2分


vol-600:HondaJetは専門家たちの思考を超えた
オートバイで「イノベーション」を起こしたホンダは、航空機市場においても、「イノベーション」を創出した。北米では、「コストが安くて誰でも飛行機に乗れる」といったキャッチフレーズが注目を浴びて、2000年前後に小型ジェット機のマーケットが盛り上がり、数多の新規参入を呼び込んだ。しかしながら、結局、ほとんどの新規参入者たちは次々と挫折していく。ところが、航空機では全く実績のないホンダが、まったくのゼロから徒手空拳でスタートし、「空飛ぶクルマ」というコンセプトを掲げて開発した小型ビジネスジェット機HondaJetは、2017年から5年連続で世界1位の販売を記録。同市場で君臨し続けていたセスナ社を抜くという空前絶後の快挙を成し遂げる。 じつは、ホンダの技術者は、飛行機の製造経験ゼロの素人。見よう見まねで全分野を試行錯誤して、最善の組み合わせを無数に探究した結果、主翼の上にエンジンを置くというソリューションに辿り着く。このソリューションに辿り着いた結果、空気抵抗面で大きなメリットが生まれ、客室への騒音が弱まり、かつ客室容積を増やすことができた上に、燃費を良く
2020年2月27日読了時間: 2分


vol-442:終身雇用は本当に崩壊してしまうのか?
経団連会長が「終身雇用を前提とすること自体が限界になる」と口火を切ると、経済同友会代表幹事も「終身雇用は制度疲労を起こしている。もたない」と呼応し、トヨタ自動車の社長も「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言しました。追い込まれたというべきなのかもしれませんが、ついに、日本の大企業が「終身雇用」の改革に乗り出します。「日本的経営」と呼ばれてきた雇用慣行は終焉を迎えます。 国境や業種を超えたグローバルな競争が厳しさを増す中、終身雇用だけでなく、年功序列型賃金、新卒一括採用、春闘など、日本的な雇用慣行を維持し続けることは困難。日本人が少なくなる穴を、異なる文化を持つ若い外国人社員が埋めていくことを展望すれば、「日本的経営」が瓦解するスピードは加速度を増していくと予想されます。終身雇用を前提とした長期間の OJTは機能しなくなり、「社員は短期間で辞める」という不都合な現実を踏まえた米国流のマネジメントを巧みに取り入れていくことが求められます。移行期の激痛は生半可ではありません。当分の間、日本企業におけるマネジメントは試行錯誤が続きます。
2019年7月5日読了時間: 1分
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