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vol-1054:派遣先が摘発されない限り不法就労は撲滅されない

3 日前
読了時間: 4分
  • 9月16日、在留資格の期限を超えて国内に滞在したとして、兵庫県警は工場作業員で、ベトナムと中国籍の男計10人を入管法違反(不法残留)容疑で現行犯逮捕した。同市の木造2階建て住宅を拠点に集団で生活しており、県警はグループの実態や他に関与した人物の有無を詳しく調べている。10人は技能実習生や留学生などとして入国し、2019年4月~今年2月に在留資格が切れた後も滞在していた。

  • こういう集団的な不法残留の背後には、例外なく「違法派遣業者」がいる。法的に細かく言うと「請負」かもしれないし、「斡旋」なのかもしれないが、だいたいが「派遣紛いの違法ブローカー」が絡んでいる。そして、身分を偽るために、「偽造在留カード」もしばしば使われる。かつては5万円以上した「偽造在留カード」はどんどん安くなり、1枚5,000円~10,000円程度で入手できるから、派遣の儲けと比べれば雀の涙並みのコストに過ぎない。

  • 本当に警察が「違法派遣業者」を検挙する気があるのなら、関東近辺に多数存在する食品工場の従業員出入口で、片っ端から外国人労働者に職質を行い、在留カードをチェックし、偽造カードを見分けるアプリで確認してみればよい。また、本物の在留カードであったとしても「技術・人文知識・国際業務」の通訳業務で派遣されている外国人も数多く働いているから、片っ端から逮捕すればよい。正社員で雇っている場合は「将来管理職になるための現場研修」として工場作業は認められるが、派遣社員は「将来管理職になる可能性がない」から、完全にアウトだ。

  • いま、日本では「不法残留+偽造在留カード+違法派遣」という「鉄のトライアングル」が、大量の不法滞在外国人を産み出し、隠蔽される中で急成長を遂げている。そのトライアングルの中核で絵を描いて、仕組みを動かしている「違法派遣業者」を徹底的に叩かなければ、この問題は解決しない。そもそも、「外国人派遣」はほとんどが「違法」だ。問題のない身分資格の外国人は希少価値で商売が増えないし、すぐに転職してしまうから安定した稼ぎにならない。だから、不法在留者に偽造在留カードを与えるという安易な手に頼ってしまう。

  • とはいえ、本当の黒幕は「派遣業者」ではない。本当に悪い輩たちは、中小の派遣業者たちを競い合わせ、無理難題を吹っ掛けてこき使いながら、危なくなったら切り捨てている「派遣先の大企業」たちだ。彼らが本当の「悪」である。仮に、警察が食品工場の従業員出入口で、偽造在留カードや「技術・人文知識・国際業務」の派遣社員を見つけて、工場長を問い質したところで、「私たちは派遣業者を信じていましたから」という一言で終わり。自分たちに火の粉がかからないように、敢えて在留カードをチェックしない大企業も多い。もっとも、彼らがそういう実態を知らないということはまずない。というのは、派遣業者に対して、不可能に近い外国人集めを依頼しているのは大企業自身だからだ。

  • 入管法73条の2(注)によれば、「外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者」は、不法就労助長罪に問われることになっているが、警察と大企業がつるんでいるためか、派遣先の大企業が罪に問われることはほとんどない。直近では、中村屋の食品工場で不法就労が問われた件で、中村屋の管理職が送検されたが、結局「不起訴」で終わっている。まずは、不法残留外国人を供給している派遣業者を検挙しなければ、何も是正されないが、「派遣先の大企業」が罰せられないのであれば、「鉄のトライアングル」を成立させている土壌は何も変わらず、「違法派遣」はプレーヤーが変わるだけで成長を続けるだろう。

    (注)第73条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

    一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者

    二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者

    三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者

    2 前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

    一 当該外国人の活動が当該外国人の在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。

    二 当該外国人が当該外国人の活動を行うに当たり第19条第2項の許可を受けていないこと。

    三 当該外国人が第70条第1項第1号、第2号、第3号から第3号の3まで、第5号、第7号から第7号の3まで又は第8号の2から第8号の4までに掲げる者であること。

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