vol-1108:入管には派遣会社を捜査する権限がある
「問題の多い派遣会社は摘発すべき」「派遣先企業を捜査すべき」などと書くと、ちょっと AI に聞いて、「何言ってるんですか? 別の管轄部署です。知らないの?」などと脊髄反射的に批判する「AI 病罹患者(原典を調べることなく、AI の回答を無条件に正しいと考える人たち)」が出てくることがあります。
入管法を読んでいただければわかりますが、入国警備官には、違反調査の実施(入管法第27条)、取調べ(同第28条)、容疑者の出頭要求(同第29条)、証人の出頭要求と取調べ(同第30条)、領置(同第30条の2)、裁判官の許可状による強制処分(同第31条)などが認められています。要するに、入管は、地方裁判所・簡易裁判所の裁判官の許可状により、臨検・捜索・差押え(押収)・記録命令付差押えなどができます。家宅捜索も断行できます。だから、入管だけで、「摘発」や「捜査」は可能なのです。
無論、これらの権限は「退去強制手続のための行政的調査」であり、「刑事事件の捜査」とは別物です。外国人の入管法違反については、「逮捕」ではなく、「収容」という行政手続で身柄を拘束できますが、日本人を「逮捕」することはできません。原理原則的には「現行犯逮捕」という理屈で、入管法違反の現行犯である日本人の身柄を拘束することは理論上可能ですが、実務的には、日本人の逮捕などが見込まれる場合、「刑事事件としての逮捕権」を持つ警察官と合同で家宅捜索することが定例になっています。また、入管が捜査(違反調査)の結果を警察に通報して、警察が本格的な捜査に踏み切ることも珍しくありません。
いずれにしても、入管が「摘発」や「捜査」をすることができることは疑いの余地がない「事実」です。ちなみに ChatGPT は、「ChatGPT は間違えることがあります。重要な情報は確認してください」と明記しています。AI の回答を無批判に信じて他人を批判するよりも、出所が明らかな原典を踏まえた上で建設的な議論をしたほうが、より広い人々を巻き込んだ力強い世論を形成することができるような気がするのですが・・・。
【参考法令】
入管法第27条 入国警備官は、第24条各号の一に該当すると思料する外国人があるときは、当該外国人(以下「容疑者」という。)につき違反調査をすることができる。
入管法第28条 入国警備官は、違反調査の目的を達するため必要な取調べをすることができる。
入管法第29条 入国警備官は、違反調査をするため必要があるときは、容疑者の出頭を求め、当該容疑者を取り調べることができる。
入管法第30条 入国警備官は、違反調査をするため必要があるときは、証人の出頭を求め、当該証人を取り調べることができる。
入管法第30条の2 入国警備官は、容疑者又は証人が任意に提出し、又は置き去つた物件を領置することができる。
入管法第31条 入国警備官は、違反調査をするため必要があるときは、その所属官署の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により、臨検、捜索、差押え又は記録命令付差押え(電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。)をすることができる。
刑事訴訟法第212条 現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人とする。
刑事訴訟法第213条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくして逮捕することができる。



