vol-1129:外国人問題に係る高市首相の関心はゼロベース
2026年2月9日、衆議院選挙の結果が確定した。自民党が316議席を確保し、単独で定数の3分の2を上回り、ひとつの政党が獲得した議席数としては戦後最多となった。圧倒的な支持を背景に、国会運営の障壁は少なくなり、目玉政策の一つである外国人政策に関しても改革が加速する環境が整った。多くの人は、「奈良の鹿」を総裁選の冒頭で強調し「ゼロベースで見直す」と断言した高市首相に期待したに違いない。
しかし、私は少しだけ懸念していた。というのは、高市首相が、衆院選の選挙遊説で外国人政策にほとんど触れなかったからだ。演説内容を政策テーマ別に文字数で比べると、「経済政策」が全体の65%以上を占める一方、「外国人政策」について首相が言及したのは1%に満たない。しかも、高市首相は、第2次高市内閣において、「閣僚は第1次内閣から変更しない」とも明言し、あの無能としか言えない平口法務大臣を留任させた。
残念ながら、第1次高市内閣における外国人政策は「今後の課題を取りまとめる」だけに終始し、「現在の課題を解決する」という真摯な試みは全く見られなかった。コロナビザの導入移行緩み切った入管行政は完全な正常化には向かわず、改正入管法の施行で「3回OUT制」を取り入れたはずの難民申請も悪用や誤用が是正されなかった。その状況はいまも変わっていない。
高市首相は、外国人政策に興味がない。入管実務もわからない。入管の現場で起こっていることや在留外国人の実態についても関心がない。要するに、興味や関心が「ゼロベース」なのだ。
【参考資料】 消費減税「沈黙」の高市首相、遊説で保守色も抑制 透ける選挙戦略
2026年2月4日(朝日新聞)
衆院選(8日投開票)の公示から3日で1週間が経ったが、高市早苗首相(自民党総裁)は「私の悲願」とした食料品の消費税ゼロについて、各地の選挙遊説で一言も触れていないことがわかった。首相の「沈黙」には、報道各社の情勢調査で自民優勢が伝えられる中、消費減税という選挙の「争点つぶし」(政権幹部)に成功し、野党側に批判の口実を与えぬよう「余計なことは言わない」(別の幹部)という戦略も透けて見える。
朝日新聞の3日現在の集計によると、首相は1月27日の公示日以降、自民が公表した16都道県の計34カ所で第一声や応援演説をしたが、消費減税には言及していない。消費減税の実現は、これまで野党側が積極的で自民は慎重姿勢だった。だが、自民は今回の公約に、食料品を2年間に限り消費税ゼロとすることについて「今後『国民会議』で財源やスケジュールの在り方など実現に向けた検討を加速する」と明記。首相は1月19日の会見で食料品の消費税ゼロは「私自身の悲願だった」と強調。公示前日の党首討論では「(2026)年度内を目指したい」と公約を踏み越え、早期実施に意欲を示していた。
首相の「沈黙」の理由を、政権幹部は「すでに争点をつぶしたからだ」と明かす。野党が消費減税を掲げる中、首相が実現に強い意欲を示すことで選挙の争点化を避ける狙いがあったという。また、自民内のコンセンサスと首相の26年度内を目指すとした発言の整合性をめぐって野党からの追及や、円安をさらに進行させて批判を呼ぶ可能性もあり、別の幹部は「余計なことは言わないことがリスクマネジメントだ」と語る。野党から「(首相の姿勢は)どんどん後退している」(中道改革連合の野田佳彦共同代表)との批判があがるが、首相は1日のNHKの討論番組を手のけがを理由に欠席し、公示後に党首討論には参加していない。
朝日新聞が高市早苗首相(自民党総裁)の衆院選公示後の第一声や応援演説内容を分析したところ、持論のスパイ防止法の制定など保守色が強い政策も、消費減税と同様に積極的には言及していないことがわかった。公示日の1月27日から3日までの首相の演説内容を政策テーマ別に文字数で比べたところ、積極財政などの「経済政策」が全体の65%以上を占める一方、「外交・安保」はわずか3%程度だった。「外交・安保」の内訳を見たところ、安保関連3文書の改定に触れているが、殺傷能力のある武器輸出を拡大するために「5類型」を撤廃する方針には言及していない。「スパイ防止法」をめぐっても、高市政権は「速やかに法案を策定し成立させる」と掲げているが、首相は演説で一度も同法の制定には触れていない。日本国旗を傷つける行為を処罰できる「日本国国章損壊罪」の創設についても、首相が演説で言及したのは1回だけ。表現の自由などの観点から懸念の声もあがるが、首相は公示前の党首討論で「日本の名誉を守る上でも必要な法律だと思うので、必ず実現していきたい」と意欲を示していた。また、「外国人政策」について首相が言及したのは1%に満たず、持論の旧姓の通称使用拡大にも触れていない。
首相は衆院解散の理由を「国論を二分するような大胆な政策に、批判を恐れず果敢に挑戦していくため」と主張。だが、首相の演説からは有権者の間で物議を醸しそうな保守色の強い政策は回避している傾向が浮かび上がる。官邸幹部は「最も言いたいことが経済政策だ」と理由を説明するが、首相側近は「やりたいことを前面に出せば批判される」と語り、こう漏らす。「一番大事なことは高支持率を維持すること。ボロを出すわけにはいかない」
https://digital.asahi.com/articles/ASV233S3BV23UTFK00KM.html?pn=5&unlock=1#continuehere




