vol-1132:高市早苗は派遣先大企業とズブズブである
いまから振り返ると、外国人政策に関する高市早苗の欺瞞に気付いたのは、2026年1月23日のことだった。この日に公表された「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」の中身を見て、本当にびっくりした。あのリベラル色が強くなっていて、かつ、派遣業者から多額の寄付を受けている自民党の外国人政策本部ですら、 『受入れ機関が外国人を資格該当性のない業務に従事させないようにするため、例えば、派遣による就労を行う場合は、派遣先において専門的な業務に従事させることを派遣元に受入れ時に誓約させるなどの運用上の措置を講じるべきである。』
と高市首相に手交した「提言」に明記していたにもかかわらず、その部分をごっそり削除して、 『「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格について、資格該当性のない活動に従事することを防止するなど、適正な在留管理を図る観点から、申請書類の見直しを含めた在留審査等に係る運用の改善に取り組む。』
という漠然とした書き方に変換したからだ。「派遣先」という文言すら消え失せた。「不法就労の温床」である「外国人派遣」には一切手を付けないという堅い意志を示したのだ。
「紙切れがたった一枚増えたところで何も変わらない」という人もいるが、決して、そんなことはない。というのは、派遣先からその誓約書を手に入れた派遣業者は、派遣先で不法就労が発覚した際に「派遣先の責任だ」ということができるようになるからだ(大きな変化)。実際、腰が重かった入管当局ですら、外国人派遣の問題を認識し、派遣先も不法就労助長罪に問われ得るというところまで踏み込んできていた(出入国在留管理政策懇談会資料:2025.8.20)。
これまでは、派遣先の現場で不法就労が発覚しても「知らなかった。派遣業者を信じていた」「在留資格のチェックなどは派遣業者に完全に任せていた」というだけで派遣先は無罪放免というのが常道。外国人労働者と派遣業者だけが摘発されてほとぼりが冷めた頃、違う派遣業者に同じことをさせるだけ。だから、外国人派遣は「不法就労の温床」であり続けた。
つまり、不法就労外国人を使い続けたい派遣先大企業にとって、自民党外国人政策本部の提言は、外国人派遣の致命傷になり得る有効打だったのだ。その有効な施策を高市首相は葬った。派遣先大企業からどの程度の圧力がかかったのかとか、関係者からいくらもらったのか、は知らない。しかし、外国人派遣における不法就労を撲滅する気がサラサラないことだけは明らかになった。
もっとも、高市政権もバカではない。この点に関する世間の批判を薄々感じたのだろう。「申請書類の見直しを含めた在留審査等に係る運用の改善」という観点に立ち、2026年3月9日から、派遣元だけでなく、派遣先に対しても、「在留資格の活動範囲及び申請書上で申告されている活動内容詳細の内容について理解し、申請人を当該活動に従事させること」について、「誓約書」の提出を要求することにした。
もっとも、この方針が出た以上、派遣先が派遣労働者の申請に協力することは絶対にない。「誓約書」の提出が求められるのは、申請時だけだから、申請時に協力しなければ「誓約書」のリスクはないから、①派遣業者は、すでに「技術・人文知識・国際業務」を持っている外国人を大企業に派遣するようになる。②派遣先は、従来通り、派遣労働者の在留カードをチェックせず、「派遣業者を信じていた」という言い訳で凌ぐということになった。
要するに、自民党の外国人政策本部が「受入れ時に誓約させる」として「派遣の実施時」に要求していた「誓約書」を、「在留資格の申請時」の「誓約書」にダウングレードしたのが原因。もっとも、それが目的だから、目論見通りというところだろう。
本当なら、入管は、厚労省に要請して、派遣時において、派遣先は「誓約書」を派遣元に提出するというガイドラインを発出させればいい。そうなれば、外国人派遣は一挙に正常化に向かうに違いない。だが、高市政権にはそういう意思がない。派遣先大企業を守りたい一心だからだ。
派遣先大企業のところで、不法就労をしまくっている外国人を摘発し、派遣先に天罰を加える気がさらさらないのであれば、日本から不法就労がなくなることはない。本当にあきれ果てた。高市早苗は、派遣先大企業とズブズブなのだ。派遣先における外国人の不法就労なんて、本音で言えば、止めさせるつもりがない。
2026年1月23日まで高市首相を信じていた私はバカだった。「奈良の鹿」と「ゼロベース」に完全に騙されていた。高市早苗は「外国人政策をゼロベースで見直して、不法滞在者を送還し、不法就労を撲滅して、外国人問題を解決する」と息巻いていたが、まったくのウソである。本当に情けない。高市早苗は、派遣先大企業とつるんで外国人の不法就労を続けさせるつもりだ。決して騙されるな!
(参考資料)
【高市政権の外国人政策】 https://kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kakuryokaigi/dai2/shiryo1-4.pdf 【自民党外国人政策本部の提言】 https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/%e5%a4%96%e5%9b%bd%e4%ba%ba%e6%94%bf%e7%ad%96%e6%9c%ac%e9%83%a8%20%e6%8f%90%e8%a8%80.pdf 【出入国在留管理政策懇談会資料】(2025.8.20)
労働者派遣によって就労する者のうち、在留申請時に申告のあった「技術・人文知識・国際業務」の活動内容に該当しない就労活動(専門的な技術や知識を要しない現場業務等)に従事していることが判明した事案が複数発生している。
(パターン1)所属機関である派遣会社(派遣元)が、派遣先に対して、在留資格に該当しない活動に従事させることを許容する旨説明し斡旋することで、派遣先の悪意なく、対象者が現場業務等に従事している場合
(パターン2)所属機関である派遣会社(派遣元)が、派遣先に対して、在留資格に該当しない活動に従事させることは許容されない旨説明し斡旋したが、派遣先が故意に、対象者を現場業務に従事させている場合
(パターン3)所属機関である派遣会社(派遣元)及び派遣先が、在留資格に該当する活動内容や外国人労働者における就労制限等について認識した上で、双方が故意に、対象者を現場業務に従事させている場合
いずれも「不法就労助長罪(入管法第73条の2第1項)」等に該当するおそれのある事案であり所要の対策を講じる必要がある。
(参考)不法就労助長罪
第七十三条の二次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者



