vol-1044:山下大臣は「特定技能」を厳格化 or 緩和する?
更新日:5 日前
高市改造内閣で法務大臣に任命された山下貴司氏の評価が大きく割れている。保守論壇の論者として知られるジャーナリストの門田隆将氏は「法相を務めていた2019年、『優秀な外国人を受け入れる為の環境整備だ。アジアを中心に日本で働きたい若者は多い。ベトナムやミャンマーなどの要人に“若者を日本で働かせて貰いたい”とよく言われるんですよ』と宣っていた山下貴司法相。なぜこの人でなければならなかったのか?」と疑問を呈した。
この批判に対して、山下氏を擁護したのが元衆議院議員の長尾たかし氏である。「元の入管法の運用に戻す為だと思います」と語り、「2018年当時、山下大臣は経済界の無制限な受け入れ要求に対し、監視・取締りを強化するため『出入国在留管理庁』を創設しました。新設した『特定技能』も審査を極限まで厳格化し、初年度認定数は見込みの1%未満、永住に繋がり得る『2号』もわずか2分野に絞り込んで合格者を事実上ゼロに抑え込むなど、安易な流入を阻む強固な防波堤を築いたのが実態です」と説明。実際、山下氏が法務大臣として新設した「特定技能」は、導入当初においては全く人気が出ず、これによる外国人雇用があまり増えなかったというのは事実だ。
それが、現在のような「外国人ホイホイ」に「特定技能」が変貌してしまったことについて、長尾氏は、「その後、法律は出来たが使い物にならないとの業界からの圧に屈し、岸田政権下において特定技能2号の対象が11分野へ無原則に拡大され、水際審査や申請書類が緩和されたことで防波堤がなし崩し的に骨抜きにされた結果に他なりません」と解説。そして、「高市首相は法務大臣に、『我が国の法制度全体の検証を実施し、時代の変化に適応した法制度への改革を推進していただくこと』を求めると記者会見で述べられました。制度の骨格と抜け穴を知り尽くす同氏の再任こそが、緩んだ規律を正し、法と秩序を現場に取り戻すための最適なのだと理解しております」として、「入管行政を正常化させるために山下氏が選ばれた」という主張を展開した。
ジャーナリストの門田隆将氏と元衆議院議員の長尾たかし氏のどちらが正しいのかは私にはわからない。ただ、事実を客観的に述べるならば、山下氏は法務大臣を辞してからも、自民党本部で外国人政策に深く関与し続けているから、「岸田政権下において特定技能2号の対象が11分野へ無原則に拡大され、水際審査や申請書類が緩和された」ことと無関係だというのは無理がある。
実際、山下氏は、2024年12月に、「自民党外国人材等に関する特別委員会委員長」に就任し、2025年11月に「自民党外国人政策本部副本部長」と「出入国・在留管理等の適正化・外国人受入れに関するプロジェクトチームPT座長」を兼務している。これらの委員会や政策本部が出した提言には「厳格化」に相当する施策が一部に含まれていることは事実だが、「特定技能の審査を厳格化すべき」という主張は見受けられない。
いずれにせよ、門田氏と長尾氏のどちらの主張が正しいのかは、今後の山下法務大臣の行動によってハッキリとわかるだろう。



