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vol-293:派遣先大企業のディフェンスはどんどん堅くなる

2018年11月2日
読了時間: 3分
  • 外国人派遣における「不法就労」が表沙汰になった場合も、マスコミは、派遣先大企業やその関係会社から巨額の広告費をもらっているので、派遣先大企業の名前を伏せたり、有名な関係会社の社名を報じなかったりする 。報道した場合も、1週間後にはネットニュースから削除。このため、外国人派遣の「不法就労」の関与者として、ネットニュースで晒され続けるのは、中小の派遣会社だけだ。派遣先大企業は、「在留カード」を確認しないことを仄めかす一方で、中小の派遣会社に対し、書面やメールで「業務範囲に制限のない在留資格の外国人を派遣して下さい」などと要請した証拠を残すことにより、本当は「強者」なのに「私は派遣会社に騙された」と訴える「弱者」を演じるという定番のシナリオを用意しながら、万が一摘発された場合に備えている。

  • この状況が是正されるためには、派遣先大企業の摘発が不可欠であり、それがない限り、「違法派遣インフラ」の成長は止まらないわけだが、派遣先大企業はさらに守りを固めつつある。最近の流行は、「今後は抜き打ちで派遣外国人の在留カードを確認するかもしれないから、ちゃんと持たせといてね」と囁く手法。そう言われると、中小の派遣会社は万が一に備えて「偽造在留カード」を購入し、派遣外国人に持たせるようになる。10年前は数万円だった「偽造在留カード」は今では1枚数千円で入手できる から、派遣の儲けと比べれば大したコストではない。派遣先大企業は、Don’t Know Defenseを放棄するつもりはなく、「不法就労」を自分で発見したくないので「在留カード」を確認するつもりなどさらさらないが、派遣会社を牽制した結果、派遣外国人が「偽造在留カード」を所持するようになれば、「偽造在留カードだと確認しても無駄ですね」という言い訳がさらに一枚加わる。しかも、中小の派遣会社は「偽造在留カード」にまで手を出した「悪党」になるので、「派遣会社に全責任を転嫁して乗り切れる」という公算が高くなる。こうして、派遣先大企業のディフェンスはさらに強固になる。

  • もっとも、中小派遣会社の立場に立てば、「不法就労」に加えて、「偽造在留カード」にも手を染めるので、摘発リスクが跳ね上がる。何らかの対策が必要だと考える一部の派遣会社では、外国人のブローカーと組んで、「派遣する外国人とは一切会わない」という手法を導入し始めた。これまで、派遣会社は、ブローカーから外国人を紹介してもらい、その外国人と派遣契約を締結して、派遣先企業に送り込んでいたのだが、摘発されたときに言い逃れをするために、①派遣会社は外国人と一切会わない、②ブローカーに外国人の手配を任せる、③派遣外国人への支払いは一括してブローカーに手渡す、④ブローカーはピンハネした後に派遣外国人に支払う、というスキームだ。摘発されたときには、「あの外国人に全部任せていた。在留資格をちゃんと確認したという報告を受けていた」と言い張って、労働者派遣法上の指導は受けるかもしれないが、入管法違反で逮捕されるリスクを防ぐという作戦 。このように、中小派遣会社も、派遣先大企業に倣って、「私は知らなかった」と言い張るDon’t Know Defenseを採用しつつある。

  • このスキームが優れているところは、不法就労あるいは不法残留していた外国人を逮捕したところで、その外国人は派遣会社のことをまったく知らないので「すぐに警察は来ない」というところ。万が一、そういうことが起こったら、ブローカーは逃げ出すに決まっているので、すべてを「逃げた外国人ブローカーのせい」にしてシラを切ればよい。近年、「不法就労」の摘発が勤務場所という事例は極めて少ない 。路上での職務質問で「不法残留」がバレた派遣外国人が「不法就労」もバレるというケースがほとんどなので、逮捕された外国人から派遣会社に直接つながらなければ、逃げ切ることができる公算は高くなる。

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