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vol-332:知らなかったで免責されないことを誰も知らない

2019年1月23日
読了時間: 4分

更新日:5 日前

  • 「不法就労助長罪」を定める入管法第73条の2が、外国人の不法就労をさせた者に対し、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」という厳しい罰則を制定している。この条文は、1989年度の入管法改正において、「不法就労助長罪」を設けるために挿入されたものだが、当時の法務大臣が「不法就労外国人の雇用主やブローカー等に対する処罰規定を設け、これによって不法就労を防止しようとするものであります 」と答弁したとおり 、この条文は、外国人の雇用主や人材紹介者をターゲットにしている。

  • さらに、入管法第73条の2第2項は、「知らないことを理由として、処罰を免れることができない」と明記しており、万が一、外国人が「不法就労である」と認定されてしまった場合、その外国人の雇用主や紹介者は、「不法就労であることを知らなかった」ことを主張するだけでは免責されず、逮捕・拘留・懲役があり得ることを意味している。

  • この第73条の2の第2項が導入されたのは、2009年度の入管法改正。不法就労助長罪が「故意犯」であるため、不法就労者を雇用している事業主等が、「雇用している外国人が在留資格を有しないことを知らなかった」と主張した場合、不法就労助長罪の適用を免れることができる、という問題が指摘され、実効性を高める改正が求められたことによる。したがって、「知らなかった」という雇用主側のディフェンスを無力化するための条文なのだ。コンプライアンスを整備する際には、そのことを十分に認識しておく必要がある。

  • ただし、この入管法第73条の2の第2項は、「知らないことを理由として、処罰を免れることができない 」と定めつつも、その後に、「ただし、過失のないときは、この限りでない」とつなげている。つまり、「過失がなかったことを立証できる場合は罪に問わない」という主旨であるから、「不法就労であることを知らなかったことについて、過失がなかったことを立証する必要がある」ということを常に認識しておかねばならない。

  • 実務的には、「過失がなかったこと」の具体的な証明方法は、雇用する外国人の「在留カード」を確認するということに尽きる。つまり、外国人材を雇用・紹介・派遣するときに「在留カード」を確認することは、入管法を遵守する上で極めて重要な行為であり、基本中の基本の動作なのである。

  • しかし、少なからぬ経営者は、この基本中の基本を知らないで、外国人を雇用している。「知らなかった」では免責されないことを知らない、というのは大きなリスクである。

  • 【参考資料】 入管法第73条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

    一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者

    二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者

    三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者

    入管法第73条の2第2項 前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

    一 当該外国人の活動が当該外国人の在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。

    二 当該外国人が当該外国人の活動を行うに当たり第十九条第二項の許可を受けていないこと。

    三 当該外国人が第七十条第一項第一号、第二号、第三号から第三号の三まで、第五号、第七号から第七号の三まで又は第八号の二から第八号の四までに掲げる者であること。 「規制改革・民間開放推進3ヵ年計画」(2006年3月31日閣議決定) 不法就労助長罪・・・は故意犯であるため、当該外国人の在留資格に関する認識がない旨弁解した場合においては、同罪の適用は必ずしも容易ではない。他方、労働関係法令は、労働者の雇い入れに伴う使用者による国籍の確認を義務付けておらず・・・考慮すべき事項として規定しているにすぎない。

    「規制改革・民間開放推進3ヵ年計画」(2007年6月22日閣議決定) 事業主等が、雇用している外国人が在留資格を有していないことを知らないことを理由として不法就労助長罪を免れることができるなどの問題を踏まえ、不法就労者を雇用する事業主への厳格な対処に実効性が高まるよう入国管理法を改正する。 出入国管理及び難民認定法逐条解説 改訂第四版 これに関しては、在留カード制度の導入の趣旨・目的、在留カードの記載事項及び常時携帯義務等を踏まえて理解する必要がある。すなわち、在留カードは、適法に在留する中長期在留者に対してのみ交付され(不法滞在者には交付されない)、在留資格の種類、就労制限の有無、資格外活動許可事実等が記載されるものであるから、在留カードを確認すれば、就労の可否等が容易に分かるはずである。したがって、実際には、在留カードの確認を行ったか否かが重要なポイントになる。 ーー 雇用者が「在留カード」を確認した場合には、「過失がなかった」とみなされることを示唆している。



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