vol-1062:勉強不足の行政書士や業界関係者に騙されるな!
外国人材業界には、「なんちゃって技人国」という言葉がある。勉強不足の行政書士が申請人の成績証明書だけを見て、「この人は経理ですね」「彼は品質管理」「彼女は翻訳・通訳なら許可が出ます」という表層的なアドバイスで、受入企業における真の業務を勘案することなく、「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更を申請した場合、受入企業は、在留資格に関する知識がないから、許可を獲得した後、現場作業に従事させてしまうというパターン。「技術・人文知識・国際業務」に相当する業務ではないのに就労させていることを揶揄して、「なんちゃって技人国」と呼称されているのだ。
顧客である受入企業の事情に配慮することなく、発覚したときには「受入企業の雇用主の責任にすればいい」と考えて、不親切なサービスを提供している素人の行政書士については呆れるほかないが、耳学問だけで「なんちゃって技人国」という言葉を振り回して、「技術・人文知識・国際業務」の問題点を喧伝し、じつはリスクに塗れている「特定技能」中心にビジネスを展開している業界関係者も感心しない。「特定技能」に潜んでいる様々なリスクを説明せず、1人が失踪しただけで全員との雇用契約ができなくなることを知らず、義務である転職支援も実施していない。彼らがやっていることこそ、「なんちゃって特定技能」である。
在留資格に関する法令やガイドラインを具に検証することなく、耳学問だけで「なんちゃって技人国」という「業界専門用語」を振りまわすことで「専門家」を気取る。その意味では、前述した素人行政書士と同類である。事実として、「なんちゃって技人国」という言葉を口にする業界関係者の中で、「技術・人文知識・国際業務」における「実務研修」のガイドラインをしっかりと読んだことのある者は皆無だろう。
ちなみに、入管が公表している『「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について』(注)は、『企業においては,採用当初等に一定の実務研修期間が設けられていることがあるところ,当該実務研修期間に行う活動のみを捉えれば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当しない活動(例えば,飲食店での接客や小売店の店頭における販売業務,工場のライン業務等)であっても,それが日本人の大卒社員等に対しても同様に行われる実務研修の一環であって,在留期間中の活動を全体として捉えて,在留期間の大半を占めるようなものではないようなときは,その相当性を判断した上で当該活動を「技術・人文知識・国際業務」の在留資格内で認めています。』と明記している。したがって、「調理だから不法就労だ」ということではない。
このガイドラインに明記されているように、「飲食店での接客や小売店の店頭における販売業務,工場のライン業務」は「入管法における資格外就労」とみなされ、「不法就労助長罪」が問われることになる。しかし、事情に通じている者であれば、よく知っているように、コンビニなどに惣菜などを納入している工場などでは、「技術・人文知識・国際業務」の外国人を派遣で大量に受け入れて働かせている。これは、上記の「実務研修」には相当せず、明らかな「不法就労」に相当するのだが、警察は検挙しない。
見つかった場合も、派遣業者が逮捕されるだけで、派遣先の大企業には何のお咎めもないから、ほかの派遣業者から他の外国人を受け入れて「不法就労助長罪」を続行する。こんなことは、業界では知らない人がいないくらいの「常識」だ。それなのに、派遣先は全く検挙されない。だから「カネをもらってるんじゃないか?」とか「OBを引き受けてもらっているんだろう」という疑惑が生まれる。
嘘だと思ったら、捜査してみればよい。関東近辺にある食品工場の従業員出入口から出てくる外国人に声を掛けて、在留カードを確認してみればよい。「技術・人文知識・国際業務」の外国人がいたら、ほとんどが「派遣労働者」だ。工場のライン業務に従事しているのは明らかだし、派遣労働者の場合は「実務研修ガイドライン」にも相当しない。明らかな「不法就労」だ。
「なんっちゃって技人国」という言葉を振り回す前に、派遣外国人の不法就労を徹底的に摘発すべきである。その際、派遣先大企業の罪も問うべきであることは当然である。



