vol-1045:「信憑性に疑義がある」という入管は難民に優しい
「技術・人文知識・国際業務」の申請において、従来にない不許可の事例が増えている。典型的な例が、申請した就労企業ではなく、その企業の一つ前、すなわち転職前の企業における業務に関し、「以前の企業に関して、信憑性に疑義がある」として不許可になる事例が多い。
特に、転職前の企業が派遣会社である場合は、その傾向が強い。確かに、派遣先で就労していた場合、資格外活動に相当する可能性は高く、不許可とする判断自体に合理性がないわけではない。ただ、ほとんどの場合、その外国人材に資格外活動をさせていた派遣会社は摘発されておらず、不法就労助長罪を適用されたというニュースは報じられていない。その派遣会社から離れて、新しい会社で頑張ろうとしている外国人労働者を罰して、派遣会社を罰しないというのは不公平だろう。このあたりが入管行政の「闇」である。
さらに、最近は新手のパターンが出てきた。それは、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に在留資格変更申請をしたときに不許可になり、不許可理由を聞いた上で再申請したものの、再度不許可になり、仕方なく異なる会社で内定を獲得して申請したのに、「以前の企業に関して、信憑性に疑義がある」という理由で不許可になるケースだ。
これはおかしい。「技術・人文知識・国際業務」の申請の場合、不許可になるケースは、大きく3通りある。それは、①申請人の外国人に問題がある場合、②会社に問題がある場合、③会社における業務に問題がある場合だ。
まず、「以前の企業」が問題なのだから、①の可能性は外すことができる。また、会社を替えているので、②の可能性もない。③については、「以前の企業」において資格外活動をしていたというのであれば、冒頭で述べたように「不許可」になるのは致し方ないものの、このケースでは申請しただけで就労していないから、その可能性もない。
敢えて言えば、「以前の会社」における申請で不許可理由を聞いた上で申請したのに、その点が十分に是正されていなかった場合だ。この場合、「この申請人は、不許可になる可能性が高いことが分かっていて申請するような輩だから、この申請人の申請には信憑性に疑義がある」という屁理屈が成り立たないわけではない。それであれば、申請書類のどのあたりが「信憑性に疑義がある」のかを説明しなければ、あまりにもいい加減だろう。
そもそも、その程度の理由で不許可にできるのであれば、偽装難民の難民認定申請など片っ端から「不認定」にできるはずだ。御しやすい申請人に対してはいい加減な理由でも不許可にし、人権派弁護士がついている筋悪の難民申請者に対しては強く出れない。
根拠が不明確な「信憑性に疑義がある」という不許可理由を多用しながら、難民申請に甘い対応を続けている入管は、信用するに値しない。



