vol-1035:在留カード導入時の入管は派遣先に確認を求めた
更新日:5 日前
入管は、不法就労の温床である「外国人派遣」に対して極めて優しく、入管法違反を黙認しています。そもそも、日本人の場合、派遣労働者の割合は2~3%にすぎないにもかかわらず、在留外国人において派遣労働者の割合は20%に上ります。さらに言えば、派遣を含む人材業界で働く労働者の中における外国人の比率は30%近くありますから、いかに派遣労働者が多いかがわかります。実際、雇用問題に詳しい専門家は「外国人で派遣社員として働いている人は、39.9万人にも上ります。この39.9万人という数字は異常としか言いようがありません。外国人は日本人以上に雇用管理を強化すべきであり、職務変更が容易で雇用保障も薄い派遣労働などは、原則、認めるべきではありません。少なくとも、母国で大学を出た人が、いきなり派遣社員として「技術/人文/国際」ビザを取得することは、早急に禁止すべき」と発言しています。
じつは、「外国人派遣」が「不法就労の温床」になるのは、構造的な問題があります。繁閑調整を機動的に行い、入管法リスクをヘッジしたい大企業は、外国人に特化した中小派遣業者に声を掛け、大量の派遣労働者を依頼します。中小派遣業者にとっては大きな売り上げですし、ストックビジネスで、かつ、ネームバリューのある大企業との取引は宣伝材料にもなります。派遣する労働者だけが勝負なので、知名度や社歴も関係ありません。だから、喜んで大企業と契約します。
そこで大企業は、複数の派遣業者を競い合わせて、いつでも業者を切れる態勢にした上で、派遣業者に対し、「時給をまけろ」「1週間後に20人くれ」「身分系だけにしろ」など無理難題を吹っ掛けるわけですが、切られたくない派遣業者は必死で対応します。しかし、うまく対応できなくなると、ビザ切れの外国人に手を出し、その事実を隠蔽するために、偽造在留カードにまで手を出してしまう。それで結局、不法就労助長罪に陥ってしまうのです。
派遣先の大企業は、そういう派遣業者の懐事情を熟知していますが、入管法違反のリスクをすべて転嫁するために、派遣労働者の在留カードは絶対に確認しません。後日、法令違反が発覚したときに、「知りませんでした」「業者を信じていました」と言い張って無罪放免を勝ち取るためです。そして、派遣業者が摘発されたら、他の中小派遣業者と新規契約をして、同じことを始めるわけです。つまり、不法就労助長の黒幕は、派遣先の大企業なのです。
この現状は、入管法の条文からすれば極めておかしな話です。入管法第73条の2は「事業活動に関し、不法就労をさせる者」や「外国人に不法就労をさせるために自己の支配下に置いた者」は、不法就労助長罪の対象と明記しており、「知らないことを理由として処罰を免れることはできない」とまで書いてあります。すなわち、派遣先であっても不法就労があれば、入管法違反に問われるのは当たり前のことなのです。
中村屋事件(不起訴で終結)のように、派遣先の摘発がまったくないというわけではありませんが、派遣先大企業の意識を変革させるまでには至っていません。違法な「外国人派遣」を殲滅するのは簡単です。派遣先が「入管法第73条の2の対象である」という当たり前の法解釈に従って、派遣先大企業の役員を逮捕すればいいのです。あっという間に、在留外国人の不法就労は劇的に減少するでしょう。
そもそも「在留カード」は、「不法就労を撲滅する究極の兵器」として導入されました。それまでは、「外国人の在留資格なんか知らなかった」と言えば、無罪放免だったからです。しかし、外国人派遣で不法就労が極めて多いことを知りながら、入管は、派遣先に在留カードの確認義務を強く求めていません。要するに、利権か、怠慢なんです。実際、在留カードを導入する入管法改正に関する国会質疑で、当時の入国管理局長は、下記のように答えています。
新たな在留管理制度におきましては、在留カードは適法な在留資格を有する者だけに交付をされます。また、在留カードには、その外国人の在留資格、期間のほか、就労の可否等が券面上明確に記載されますので、事業主(注)等は当該外国人について在留資格や資格外活動許可の有無の判別を極めて容易に行うことができるようになります。 (注)事業を運営する事業主であって、雇用主ではないことに注意(雇用主だと「派遣先企業」は対象にならなくなる)。 ーー西川克行法務省入国管理局長(衆議院法務委員会:2009.4.24)



